こんなにも忘れたいきもち
車中のとも。
レイモンド・チャンドラー、村上春樹『ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)』(早川書房)
なんて回りくどい会話なんだ!
互いに腹を探り合っていたりするのだろうが、
マーロウとモーガンの車中の会話は、
よく分からん。分からないのにかっこいい。
「あんたにはさよならを言うべき友だちがいた」と彼は言った。「彼のために監獄にぶち込まれてもいいと思えるほどの友だちがね」(p.120)
結末あたりの大事なシーンが頭から離れてくれないのが、
なんとも残念至極。だが、だからといって忘れるのを待つには、
もう遅すぎる。読み始めてしまったのだ。読み始めてしまったら、
ページを飛ばさないように気をつけるくらいしか、
工夫の余地は残されていない。面白すぎるからだ。
せいぜいゆっくり読んで、わかりにくいかっこよさを、
行きつ戻りつのんびり読んで、あたりを警戒しながら夜道を歩いて、
そうしてあのことを忘れてしまうように仕向けてみようか。
って、こうしてなんども言及するたびに、あのことが、
忘れられなくなってるって寸法だよ。
村上訳でも清水訳でも、初読が残ってるあんたは幸せだよ!
購入。
鮒谷周史『「かけ算」思考ですべてが変わった ポケット版―楽しく、無理なく、夢をかなえる』(かんき出版)
気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
松任谷正隆『僕の散財日記 (文春文庫)』(文藝春秋)
穂村弘『にょっ記 (文春文庫)』(文藝春秋)
D『キぐるみ―(で、醜さを隠そうとした少年のはなし) (文春文庫)』(文藝春秋)
柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)』(文藝春秋)
横尾忠則『病の神様―横尾忠則の超・病気克服術 (文春文庫)』(文藝春秋)
小林泰彦『日本百低山―標高1500メートル以下の名山100プラス1 (文春文庫)』(文藝春秋)
野村総合研究所技術調査部 『仮想世界ロードマップ――次世代Webへの対応が企業の明暗を分ける』(東洋経済新報社)
森祇晶『野球力再生―名将の「ベースボール」思考術 (ベースボール・マガジン社新書)』(ベースボールマガジン社)
ダニエル・ケールマン、瀬川裕司『僕とカミンスキー』(三修社)
ジェイ・マキナニー、トバイアス・ウルフ、ゲイリー・フィスケットジョン他、村上春樹『私たちの隣人、レイモンド・カーヴァー (村上春樹翻訳ライブラリー)』(中央公論新社)
アール・ラヴレイス、中村和恵『ドラゴンは踊れない』(みすず書房)
『にょっ記』フジモトマサルのイラストあり。
『日本百低山』カラーのイラストもいくつか。素敵。
それにしても、今月の文春文庫のパワーといったらなんだよ!
『野球力再生』あの頃の西武は憎らしいほど強かった。
『ドラゴンは踊れない』なんか表紙の写真の著作権所有者が不明らしい。
「心当たりのある方はお知らせください」的なことが、
書いてありましたよ。どっからもってきた写真なんだろね。