いいスピードで、父は。

アラマタ大事典


車中のとも。
長嶋有ジャージの二人 (集英社文庫)』(集英社文庫
小説の語り手が、何を言い、何を言わないか。
面白いなぁ。同じ登場人物に語らせるにせよ、
角田光代が言及する細部と、長嶋有が言及する細部は、
違うんだなぁ。


そして、言葉で表された箇所に光が当てられ、
読者の想像のピントが合わせられる。
もちろん、その言葉の周辺を想像することは自由だが、
語り手のコトバに誘導されることは、影響されることは、
避けられない。


固有名詞が、やたらと出てくる。フリスクとか、
花輪和一とかビックコミックオリジナル増刊号とか。
そういう具体的な名前をたどりながら、なんとなく、
ゆっくりとお話はすすむ。そのスピードが、心地よい。


気になる新刊。
荒俣宏アラマタ大事典』(講談社
小疇尚『山を読む (新装ワイド版 自然景観の読み方)』(岩波書店
つくる図書館をつくる―伊東豊雄と多摩美術大学の実験』(鹿島出版会
橘蓮二『高座―橘蓮二写真集』(河出書房新社