平仮名じゃだめなのかい?

ひらがな思考術


車中のとも。
関沢英彦『ひらがな思考術』(ポプラ社


ひらがなで考える、とは申せ、漢字で書けることばを、
ひらがなで書いているだけでは?という部分もあり。
著者の言う「漢字VSひらがな」というのは、
「熟語」VS「熟語以外」というほどの区別なのか。
「漢語」VS「和語」とか?


新しい日記帳を開発するためのブレーン・ストーミング。
そこで交わされた会話のなかから抜粋したことばを並べてある。(p.100-101)
そこであげられた「すてきなことがあって」というのは、
「素敵」って、書けるじゃない?とおもったりする。


でも、もしかして、「素敵」は当て字なのかも。
当て字とはいえ、「漢字」でしょ。
「忘れない」というのもあげられている。
・・・これは漢字が入ってる。熟語じゃないからOKなのか。


関沢英彦の本は、『生活という速度―歩く。見る。変わる。』を読んだ。
これは、目次が好きで書き写したくらいだ。ただ、文章自体は、
目次ほどにはわくわくしなかったような気もする。
このひとの着眼点や基本的な姿勢には共感するが、
文章が好みじゃない、ということなのか。


「ひらがな思考術」というタイトルはいいし、
熟語を使わないことで自分の感覚に根ざした考えにたどり着き、
こころがほぐされたり、世界がはっきりと見えてくる、
という提案はなるほど、とも思う。
ただ、どこまでが「ひらがな」のちからなのか、とか、
五感をつかうことと「ひらがなで考える」ことって同じなの?
とか、細かい「ハテナ」が僕を苦しめるのであった。


寄藤文平のイラストは、かなり効いている。
この文章を書くにも、熟語を減らそうと努めたりもした。
でも、なんとも手放しでお勧めできない、『ひらがな思考術』。
いつか、再読するんだろうか。