文庫化を待つか、単行本を積むか
送品表をチェックした後は、TLにとらわれる。
結局、ゆうべ鞄に入れた本は、ちょっぴりしか読めず。
できるのならば、『体験談を聞くことで、それぞれの方の考えの筋道をくぐり抜ける』とでもいう経験を提供したいのです。(p.3)
気になる新刊。
多和田葉子『地球にちりばめられて』(講談社)
だいたい面白そうな単行本の新刊を見つけると、
一瞬グッときたのち、『はいはい、文庫化待ちましょうねー』と、
脳内に謎のママキャラが現れて購買欲を溶かしにかかるのだけれど、
今日はふと、『文庫化するとは限らなくね?』という声が聞こえた。
もちろん、文庫化する前に俺の命が尽き果てる可能性もあるし、
単純に文庫化が見送られたり、版元が倒産したり、
出版業界が壊滅したり、いろいろな可能性がある。
だから、読みたいと思った本は、単行本でも、
スッと手を伸ばしていいんじゃないかな、
そこが文庫出してる版元だったとしても、と、
そこまでは思った。でも、他にも欲しい本いっぱいだし、
やはり文庫化が期待できてしまう単行本は、先送りされちゃうんだな。
そうして今度は、過去に「文庫化待ち」として見送った本が、
「お待たせー」つって、文庫化して登場したときの受け流し方が問題となる。
「もう!文庫化したら買ってくれるって言ったじゃない!」
「わ、わりぃ、今月もう買いすぎてお金ないんだ、来月、な?」
「お待たせ―!」「お待たせ―!」「お待たせ―!」
「ひー、今月、読みたかった本の文庫化が3冊!?」
「はじめまして、みすず書房から刊行されました」
「み、みすずさん!」「たぶん、文庫化しませんのでお早めに」
単行本のときに見送ったやつの文庫化は、
なるべく、買うようにしている。
反射的に。
(さもないと何かを裏切ってしまう気がして)
でも、単行本に出会ったときのトキメキが、
文庫化されたときに残っているかどうか、っていうのも、
なかなか微妙なところだな。読みたい気持ちは、はかないもので。
でも、単行本で買ったまま、読まずに文庫化を迎えるつらさもあるしなー。
でも、でも、でも。
帰りも、『漫画の仕事』を読む。
行きしは、「はじめに」の途中までしか読めなかった。
判型についての説明を読んで、なんというか、
自分宛ての手紙を受け取ったような気がした。
ブックデザインは寄藤文平さん!(やはり!)
「取材者なりの評価や質問の内容などは、肉声の選択と配置で提示しています」(p.7)
という木村さんの「決めゼリフ」にひとしきりしびれた後、海野つなみさんの話。
『善き書店員』*1などのときと比べると、
木村さんの問いかけたことばをそのままおうむ返しに記述する部分があまりなく、
より取材者の姿の消し方が巧妙になっている気がした。もっとも、
読みながら眠くなってこちらの意識が消えてしまったのであるが。
やはり行きしの電車のが、しっかり読めるなー。
明日の朝は、TLのぞかないどこ。