一書店員からの電話

車窓から見えた「吉田医院」を「吉田戦車」に空目。
四字熟語の前半吉田なら後ろは必ず戦車化する法則。


もう、桜も終わってしまったね。
葉桜の到来を知っていながら、やはり、
寂しい気分が顔の周りを飛び回っている。


1枚きりの送品表を早々にチェックし終わって、
しかし、大臣の失言にまつわるTLに気を取られて、
ぜんぜん本が読めないまま鶴橋へと運ばれてしまった。


いつになったら猫たちは、猫じゃらしに翻弄されないで猫をじゃらしてくる手にかみつくことができるのだろうか。
「わかりやすい失言」という猫じゃらし。まんまとじゃれてしまった。


昨日まで来てくれていた「新人さん」は、
もう来ない。いくら待っても、もう来ない。
彼に何かおすすめの本のリストでも渡したいなぁ、
などという欲望が頭をかすめるが、ヒトに本を薦めるって、
いったいなんなんでしょう。「学芸員マインド」こそ会得したい、
なぞと思ったり。学芸員マインドってば、なになのか。
書店員マインドってのは、ありやなしや。


雑誌記事に、古い知り合いが載っていて、
連絡を取ろうかどうか、迷う。できれば、
最善の準備をして、とか鼻の穴を広げてみたが、
そうこうしているうちに時間が経ってしまって、
熱がさがってしまいそうな気がして、休憩時間に、
思い切って電話してみた。その人は、ぼくのことを、
覚えていてくれた。嬉しそうなその声は、当時と変わらず、
今度、会いに行きますよ、と言ってくれた。


東京で、本屋バイトしてたころにお世話になった営業さん。
名乗るときに「10年以上前のことなんですけど」って言って、
あぁ、ほんとうに10年以上前のことだよなぁ、と、驚いた。
まずはまたこうして「書店員」として連絡できたことが、
嬉しい。さて、それではこの「再会劇」から、
なにがしか、本屋さんの現場の片隅に、
エネルギーを注入できるものか。


車中のとも。
山田ズーニーあなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)』(筑摩書房

主語を決めることで人を決め、時間を決め、お金を決める。決める億劫さやリスクを引き受ける。優柔不断な人はどうしたって論理的になれない。論理的に話すコツは、「決め」だ。(p.116)