買っちゃいなよ!

重版未定


週末に生じた気がかりを思い出すと、
憂鬱な気持ちになり、思考がぐっともたつき始める。
送品表をチェックして本を取り出す。
いつものことに紛れ込んでしまおう。


車中のとも。
高橋源一郎鷲田清一、長谷部恭男、伊藤比呂美読んじゃいなよ!――明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ』(岩波書店


ゆうべ「トリセツ」は読んだので、
目次をさらっと見直してから「哲学教室」へ。
鷲田清一


高橋源一郎のことば、教室に入ってきたところからの、
高橋・鷲田のやりとりのあと、29頁も終わろうとするところで、
突然、違うフォントで鷲田せんせいが語りだした。なにこれ。


その後、しばらくそのフォントで話し続けているが、
36頁で高橋が発言すると、高橋のフォントは別なフォントになっている。
これは、元のフォントだろうか。ぼくはフォントに詳しくないので、
違和感を感じる程度の見分け方しかなく、字だけを見ても、
フォントの種類とかは分からない。気持ちが悪いので、
よくよく目を凝らすと、ひらがなの「し」の違い、
一番上が左にちょっと反っているか、
上まで直線のままかの違いがある。


鷲田せんせいの語りは、直線。
高橋せんせいのは、反ってる。


出勤して、ロッカーにメモ。
昨日のミスを、どんなに悪し様にののしられているかと、
びくびくしながら読めば、穏やかな文章。助かった。
今の傷だらけのハートに、厳しい言葉は禁物よ。


早めに退勤。
スタンダードブックストアあべのへ。
北村さんらしき人が見えた気がしたけど、
棚を見て回っているうちに見失ってた。
いや、仕事を邪魔したらいけないから、
いいのだ。今日は、本を見に来たのだ。


気になる新刊。
甲斐みのり『一泊二日 観光ホテル旅案内』(京阪神Lマガジン)
十年後のこと』(河出書房新社
谷崎万華鏡 - 谷崎潤一郎マンガアンソロジー』(中央公論新社
小山龍介『片づけHACKS!』(東洋経済新報社


こないだ啓林堂書店でもぱらぱらした『重版未定』を立ち読みしてたら、なんか元気出た。
細かい文章は飛ばして漫画部分をバーっと読んでいったら通りすがりのアマゾンに行き当たって、
あぁ、これか、誰かのツイで見たの、忘れてたわ、これは持って帰りたいな、
と買うことにした。


購入。スタンダードブックストアあべの。
川崎昌平重版未定』(河出書房新社
若松英輔言葉の贈り物』(亜紀書房
上阪徹『〆切仕事術』(左右社)


車中のとも。
高橋源一郎鷲田清一、長谷部恭男、伊藤比呂美読んじゃいなよ!――明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ』(岩波書店

高橋「書いた当人が全部分かっているうちは駄目だって荒川さんは言ってました。書いた当人も分からない。当然読者も分からない。でも、気が付くと読者が先に分かったりする。これが面白いのだと。」(p.59)


荒川洋治さんのこと。
高橋源一郎荒川洋治と一緒に詩の選考会をやっていたときのエピソード。
鷲田清一の、哲学の本は二割分かればいい、ということばを受けて。


92頁、誕生祝いのくだりを載録したのは、英断ですな。温まる。このゼミの空気感が伝わってくるようだ。
近鉄奈良までに鷲田せんせいのとこ、読んじゃった。鷲田せんせいの「ゆるみとほてり」も良かった。
まだあとふたり残ってるけど、おなかいっぱい。いい本を読んでいるな、という実感。


家までの帰り道、嫌な気分が解消されつつあることに気づく。
おそらく、『重版未定』のおかげだと思われる。


帰宅すると、泣きはらした目で長女が飯を食っていた。
俺たちはそれぞれ、なにかと闘っているのだな。