旅先にいる、ページのあいだ

妻子が旅に出た。家にひとりは珍しい。
なんか、自分も旅先にいるような気分になる。


架空の旅のとも。
岩崎航、齋藤陽道『点滴ポール 生き抜くという旗印』(ナナロク社)


そのまま、読了してしまいました。
空のベッドの写真に、ヒヤリとしたり。
ゆっくり読むべき本なのだろうなー、
と思いながらも止められなかった。


洗濯物を干し終わると、ものすごい達成感がある、のをことさら表明すると、
家事をしない男性のイメージを再生産することになっちゃうかしら。


ごはんの間で栄養補給してから、
ようやく、今年はじめての、とほんさんに。


車中のとも。
竹内亮『タルト・タタンと炭酸水 (新鋭短歌シリーズ)』(書肆侃侃房)


歌と歌とのあいだの時間やストーリーを、
想像してもやんと頭の中で「雰囲気」が流れる。
次の歌が、その「雰囲気」をまたどこかに結びつける。
うまく「雰囲気」が続くと嬉しい。続かない時もある。


うたた寝から覚めると、近鉄郡山駅だった。
閉まるドアをすり抜けるように降りて、
久しぶりの柳町商店街の放送に、
にやにやしながら、とほんさんへ。
一瞬、入り口が分からなかったのは、
手前の建物が取り壊されていたからだ。


購入。とほん。
串田孫一もう登らない山』(恒文社)


スナガワさん、とほん開店2周年、おめでとうございます。
久しぶりにおしゃべりをして、うれしい気持ちで家路につく。


帰宅して、眠気をくゆらせながら、本を読んだ。


読了。
竹内亮『タルト・タタンと炭酸水 (新鋭短歌シリーズ)』(書肆侃侃房)


装画も、東直子の絵だったのか。すてき。
店頭で見て、ふっと買ってしまった歌集だったけど、
やはりぱらぱらしたときの「なんかいいな」という旋律が、
たくさんの歌のなかのそこここに流れていて、
読んでいてとても気持ちが良かった。


読了。
小林紀晴メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』(集英社


面白かった。特に飯沢耕太郎*1荒木経惟へのインタビューのくだりには、
小林の自意識に包み込まれてしまった「文章空間」に、
窓から風が吹き込まれたような解放感もあって、
小林と古屋のことだけではなく、一挙に、
写真とは、写真家とは、ということに、
ピントが合わさってハッとした。


本を読み終わったあとの、この虚脱感は、
心地よいけれど、同時に恐ろしくもある。
早く、僕の「日常」に復帰しなくては、
という焦りが出る。このぼんやりを、
しゃぶりつくしたい欲望もありつつ。


旅先から、メールが来た。