軽いレンガと重たい紙
さて、本を読もうと鞄を探ると、昨日読み終えたのも、
入ってた。読み終えた本はどうして、より重く感じるのだ。
車中のとも。
石橋毅史『口笛を吹きながら本を売る: 柴田信、最終授業』(晶文社)
ゆうべ、鞄に入れるときに、カバーを外すか、
ためらった。あまりに装丁がすてきだったから。
とはいえ、カバーが破れてしまうのはいやだから、
いったん外してみた。レンガ色の地に、白の枠。
「SHIBATA/SHIN/BOOK/STORY/SINCE1930」
SSBSS
ああ、すてき。これは、持ち運びたくなる。
カバーを部屋に置いてくることができた。
装丁:寄藤文平+鈴木千佳子(文平銀座)
『本を売る』っていうのはね、『俺は本が好きだ』とか、『私は本を誰かに手渡すことに使命を感じる』とか、それも悪いことじゃないですよ。でも、それだけじゃないっていうのは言いたいのね。むしろ、そんなことじゃ成り立たないんじゃないかな。皆が気持ちよく、なるべく嫌な思いをしないで働けるか、そういう労務管理の話の方が先にあるんですよ。本が好きだってだけじゃ、本を売るという行為は成立しなかった。私にとっては、ずっとね。(p.51)
柴田サンの話が、めっぽう面白い。
そして、その話をどのように聞いたか、どのように話されたか、
という状況自体を実況報告する石橋さんのスタイル。
もどかしくもあるけれど、こうすることによって、
発話されたテキストの周りにある「何か」も、
本のなかにもぐりこませることができたのか?
気になる新刊。
福岡伸一『変わらないために変わり続ける マンハッタンで見つけた科学と芸術』(文藝春秋)
木谷勤『もういちど読む山川世界現代史』(山川出版社)
平川克美『「あまのじゃく」に考える: 時流に流されず、群れをつくらず、本質を見失わず (単行本)』(三笠書房)
加藤昌治『発想法の使い方 (日経文庫)』(日本経済新聞出版社)