廊下ですれ違う女の子のイメージ
どうやら春の陽気らしいが、出勤時は、
なかなか装いを改められない。夜明け前なら、
その恥ずかしさも隠せるだろうが、6時にはもう、
明るくて、コートを着て駅まで走るのが、丸見え。
車中のとも。
サリンジャー、野崎孝『フラニーとゾーイー (新潮文庫)』(新潮社)
行きしの電車で、「フラニー」を読み終えた。
「あっ」と声をあげそうなくらい、ふいに終わった。
廊下で、好きな女の子とすれ違ったかのような感覚。
って、これ、こないだも言ってたな。どうした、俺。
帰りの電車では、「ゾーイー」に入る。
回りくどい饒舌文体が、ギャツビーや、ライ麦や、
村上春樹の何かを思い出させる。それらはたぶん、
学生時代の読書の記憶の中で、いっしょくたにされて、
整理されないまま、ほこりをかぶっているのだろう。
村上春樹訳も、読むのが楽しみだ。
連続して違う訳で小説を読み比べるのって、
たぶんやったことないんだなぁ。前に読んだことあるのの、
新訳を読み直すことはあったけども。ライ麦とか、長いお別れとか。
僕たちは喋って喋って喋りまくったけれど、肝心なことは一言も言わないという諒解ができていた。僕が本当に本音を吐きたくなったのは今日がはじめてだ。この手紙に深入りすればするほど、自分の確信を伝える勇気がくじけてくるな。しかし君に誓っていうけどね、今日の午後、あの子が自分のボーイ・フレンドの名前を、ボビーとドロシーだって、そう僕に言ったあの瞬間、僕は完全に伝達可能な真理のイメージ(ラム・チョップ的イメージ)を掴んだことは間違いないんだ。(p.79)
気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
平田オリザ『世界とわたりあうために (一般書)』(徳間書店)
京阪神エルマガジン社『東京めっちゃええ店、うまい店。―ミーツが10年かけて探した… (えるまがMOOK ミーツ・リージョナル別冊)』(京阪神Lマガジン)
『全日本鉄道旅行地図帳2014年版 (小学館GREEN Mook マップ・マガジン 6)』(小学館クリエイティブ)
『東京めっちゃええ店、うまい店。』
ツイッターで見かけた本。勤め先にも入荷していた。
知らないうちに、差しになってた。3冊。面にしといた。
近鉄奈良駅から地上に出ると、
線香花火みたいな色をした月が出ていた。
今日は、母の誕生日だ。