誰かほかにも
近鉄で、進行方向を向いて座席が並ぶのに乗った。
通勤で、この眺めは贅沢だなー、と思いつつも、
本が面白くって、あまり車窓へ目を向けなかった。
車中のとも。
ECD『何にもしないで生きていらんねぇ』(本の雑誌社)
ヒトから借りて、全く前知識なし、というか、
その本に対する欲求もなく読み出した本が、
ものすごく面白かったりすると、狼狽する。
ちょっとちょっとちょっとお待ちなさいよ、
と思う。
冒頭、ECDの音楽人生を振り返る文章のあと、
レコード評(っていうの?)が続く。
紹介されているジャンルどころか、
音楽自体をそれほど熱心に聴かない僕が、
こんなにもこのヒトの文章を面白く読めているのは、
語り口調や音楽に対する態度が好ましいからなのか。
そうやって、ほかでも評価されていることを知るとまた新たな気持ちで聴きたくなる。不思議なもので自分ひとりだけでいいと思って聴いているより、誰かほかにもいいと思っているひとがいることを知って聴くほうが楽しい。ブログなんかをのぞいていると、聴いたCDだけをズラズラ並べているようなのが珍しくない。「僕も聴きました。いいですよね」と言ってほしいのだと思う。(p.80)
「僕も読みました。いいですよね」と言ってほしい。
さて、出てきたもので、気になったもの。
J.A.シーザー『国境巡礼歌』(ベル・アンティーク)
天地総子『天地総子大全?フーコのコマソン・パラダイス』(SOLID RECORDS)
気になる新刊。
須藤靖『三日月とクロワッサン』(毎日新聞社)*1
*1:須藤靖『三日月とクロワッサン』(毎日新聞社)