今年も、読書からはじまる
元旦でも、洗濯物はある。
ふとんから這い出て、洗濯機を回す。
朝のしたく。休配なので少し遅い出勤。
妻が朝食を整えてくれる。着替えたり、
ひげを剃ったり、洗濯物を干したり。
そのうち、2歳児が起きてくる。
まだ、「あけましておめでとう」が分かっていない。
6歳児も起きてくる。こちらはもう、分かっている。
6歳児に向かって2歳児が、「アケマチテオメデトウ」と言った。
明るくなった世界へ、駆け出す。
今日は、小走りという速度でもない。
ゆっくり駅の階段を降りて、あたたかい飲み物を買う。
今年こそはやめようか、という思いも空しくTLを追う。
それでも、ゆうべこいつを、と投入した一冊に、
今年の「読書」をうらなう。
車中のとも。
長田弘『読書からはじまる (NHKライブラリー)』(日本放送出版協会)
「ここにある言葉を、ここにいないひとに手わたすことができるようにする」(p.6-7)、
ここにいない長田弘の言葉を、誰かに渡してゆこう。
なんとなく、シャキッとしない。
ぐずぐずと、べそをかきたいような気分。
それでも、年は明けて仕事が待っている。
(それはしかも、ありがたいことである)
長田弘の、ゆっくりとした、違う角度からのことばに、
励まされて店へと向かう。先に出勤していたスタッフさんたちに、
新年の挨拶をして回る。こういう「決まり文句」は、好物だ。
ぐずぐずした気持ちをぴしりと打つ区切りのムチよ。
19時過ぎに退勤。今日は忙しく、かつ売上も良かった。
ありがたや、ありがたや。元旦ということをすっかり忘れて、
家路につく。車内の人の少なさにようやく、元旦であることを思い出す。
車中のとも。
長田弘『読書からはじまる (NHKライブラリー)』(日本放送出版協会)
どの本がよい、というのではなく、本が自分の友人としてそこにあるというあり方を、自分たちの時間のなかに不断につくってゆく方法を育んでゆくということが、今、わたしたちにはとても大事ではないでしょうか。(p.35)
あけましておめでとうございます。
今年も本と本屋さんが、あなたとわたしの力になってくれますように。