病み上がりのからだにて

たもんのインドだもん (コーヒーと一冊)


病み上がりの身で、よちよち出勤。
当然、小走りもなしだ。送品表はとうに尽きて、
車内ではいきなり本を読めるかと思いきや、
弱ったココロが「活字は体に毒だ」と降参。
ゆうべマリ猫さんのツイで気になっていた、
五輪真弓の「恋人よ」をiPod で探す。
別のプレイリストで2個も入ってた。


想像していた以上に、イントロが長い。
ピアノの前にすごく小さい音で弦楽器部分があってボリュームをあげる。
あぁ、心身にしみる歌声。子どものころの記憶さえよみがえってくる。
母が好きでカセットテープでよく聞いていた五輪真弓
そのまま世田谷ピンポンズに慰めてもらう。


車中のとも。
世田谷ピンポンズ『僕は持て余した大きなそれを、』(キャッチ&リリース)


具合の悪い時にしか見えない景色があるなぁ、と思う。
病身でも読める本・聞ける曲リストとか作りたいなぁ。


   戦力外枠でのリハビリ勤務のつもりが、まぁ、当然ながら、
   ふつうに売り場で人手にカウントされて青色吐息。
   思ってた以上に大変な作業をしてるのな、普段は。


購入。
本の雑誌編集部『本の雑誌405号2017年3月号』(本の雑誌社
瀬戸賢一『時間の言語学: メタファーから読みとく (ちくま新書1246)』(筑摩書房


膝に力が入らない。
できることなら、ここからタクシーで帰りたいくらい。
こんな疲れ方は、あまり記憶にない。食べてないから仕方ない。
それでも帰りの電車では、本に手が伸びた。


ゆうべ、力の入らない心身にも優しそうだと、
多聞さんのこれを鞄に入れてきたのだ。


車中のとも。
矢萩多聞『たもんのインドだもん (コーヒーと一冊)』(ミシマ社)

あなたのお皿はあなたの宇宙よ。順番なんてない。好きに混ぜ、食べなさい。人生を楽しみなさい。(p.42)


食堂のテーブルで歌をうたったエピソードは初めて読んだ。多聞さん、意外とタフだな。
「音楽はめぐる」にうなる。本屋さんのことが頭をよぎる。
いや、僕も言いたい。お楽しみはこれからだ。


わずかに読み残して、近鉄奈良
啓林堂をちらっとのぞくが、『新潮』は無い。
ちょうど発売日に具合が悪くなって、病に臥せっている間に、
店頭からは一掃されてしまったのだろうか。奈良・大阪で、
どこか在庫が生きている店はあるのだろうか。


病み上がりメンバーたちが次々と眠りに落ちたあと、
仲直りできない胃腸のもたれをなだめながら、
多聞さんのことばを服用してから眠ろう。


読了。
矢萩多聞『たもんのインドだもん (コーヒーと一冊)』(ミシマ社)


最後の一編、とても良かった。
宗教についてなかなか腑に落ちる話を聞いたことがなかったけど、
「きっとあなたも、いい人との出会いがあったんでしょう」というタクシードライバーの言葉に、
何か分かった気がした。『偶然の装丁家*1を読んでいたおかげで、
多聞さんの結婚式のエピソードを思い出しながら読めた。


人と人。