楽がしたかっただけ、なの。

黙読の山


休み明け。今日から入荷アリ。
本格的な、一年の幕開け、といった感じ。
送品表をチェックし、「雑メモ」のことが頭をよぎったが、
携帯はいじらず、本を取り出した。


車中のとも。
佐藤ねじ『超ノート術 成果を10倍にするメモの書き方』(日経BP社)


線を引き引き、楽しく読み進める。
なにか、出題されたものに答える姿勢は、
気持ちいいな、と思う。楽なんだな。


「陳列イマジネーション」とか「古典嘘八百」とか、
架空のものならなおさらのめり込む。そりゃ、君、
現実逃避ってやつだぜ?


いろいろと奮闘したい気持ちはあれど、
目の前にわかりやすい作業や課題がないと、
時計の針にはじかれるように逃げ出してしまうのは、
長いアルバイト生活で培われた習性であろうか。


初売りのたられば書店へと立ち寄る。
去年9月のオープニングイベント以来。
プレオープンのときと合わせて2度しか行ってない。
リフォーム後、きちんと営業が始まってからは初めて。
山本さんに声をかけてから、外の均一棚に取りつく。
いや、その前に外観を楽しむ。本の覗いている窓。
夕暮れどき、古本屋の中に灯るあかり。ああ、
ここはなんというか、好もしい場所だぞ。


若いカップルが何やら本の話をしながら、
近づいてくるのを感じる。どうやら、ここに本屋さんがあるのを、
知らずにやってきたっぽい。邪魔しては悪いと2冊ほど手に取って、
再び、中へ入る。靴を脱いで中の棚を見させてもらう。
ほどなくしてカップルも中に入ってくる。焦って、
なかなかじっくりと見られない。そのうち、
赤ん坊の声が聞こえてきた。カップルは、
夫婦で、かつ、父母だった。


何やら買って、山本さんと二言三言交わしたあと、
夫婦連れは早々に立ち去ってしまった。山本さんに誘われ、
二階でコーヒーをごちそうになる。この空間もまた、
子どもが喜びそうな方向にぐいぐい進化していた。
アナウンサーの読み聞かせイベントの経緯など、
わくわくする話を聞いて、幸せな気持ちに。


あっという間に時間が過ぎてゆき、
もっと話したい気持ちを抑えて、
もう一度、階下の棚をさっと見させてもらう。
会計時、帳場の周りの棚も売り場であることを知り、悶絶。
なんというか、いきなりの強敵にあっさり全滅、という気分。
これはまたすぐにでも再訪せねばなるまい。


購入。たられば書店。
荒川洋治黙読の山』(みすず書房
池内紀文学フシギ帖――日本の文学百年を読む (岩波新書)』(岩波書店
くまのプーさん かぜをひいたピグレット』(ニューポート)


ついに「みすず荒川」を、新刊本でなく古本で購ってしまった。


帰り際になっていろいろと、たられば書店で遊ばせてほしいと、
おねだりをしてしまった。とり年とり本屋にかこつけて、
本を介在した交流の試み。山本さんのお力を借りたい。
それはともかく、今度は子連れで遊びに行きたい。


読了。
佐藤ねじ『超ノート術 成果を10倍にするメモの書き方』(日経BP社)

人の2倍アウトプットするとなると、スケジュール管理が重要になってきます。自分の本業がおろそかになっているのに個人の作品に取り組んでいては、説得力がありません。自分の仕事はきちんと終わらせて、業務時間外に個人の制作をする。そのためにも、ダラダラ仕事をするのではなく、目的意識を持ってスケジュールを守らなければなりません。(p.185)


面白かった。楽しかった。
乗換えを挟んで気持ちを切り替えたら、
もう残りわずかなこちらの本を取り出す。


車中のとも。
若松英輔言葉の贈り物』(亜紀書房


今日は、「メロスの回心」から。「回心」ということばを知らなんだ。
「眼を開く」にも、鼻の穴をふくらませて、読む。引用したいことばが、
ざわざわと肌の上を走りまわっているようだ。そして、「自己への信頼」。
しみる。しみねばならない。しかし、つるつるしてしまっている自覚もある。
もう一度、読み直そう。読みなおした。もっと、しみるはずだのに。

私たちが手にしなければならないのは、世に広く知られた本ではない。「私」だけが読み解くことのできる世界にただ一冊の本なのである。(p.138)


読了。
若松英輔言葉の贈り物』(亜紀書房


最後は商店街で歩き読み。バチが当たるな。
2冊持ちの日にまさかのダブル読了をかましたので、
今夜も「明日の本選び」の幸せが待っている。
飛び跳ねるような気持ちで家路を急ぐ。


寝る前、明日本を借りてた本から選ぼうとして、やな予感。
返却日を調べたら今日だった。あぶねぇ!延長申請を無事に済ませた。


明日も謎の2冊持ちだ。2冊持ちのいいところは、
鞄がパンパンで本を買うのを抑制できることだ。
(つって今日、たられば書店で3冊買ったやつだれ)


明日の本。
伊藤比呂美女の一生 (岩波新書)』(岩波書店
アニカ・トール、菱木晃子『海の島―ステフィとネッリの物語』(新宿書房