はじめから夢の話だと言えばよかった

まだまだ知らない 夢の本屋ガイド


風邪っぴきの身体を駅へ運ぶ。
今日は、朝から宮下さんの声を聞く。


車中のとも。
宮下奈都『はじめからその話をすればよかった (実業之日本社文庫)』(実業之日本社

その波もしくは神さまを、アンラッキーちゃんと名付けて丁重に扱うことにした。(p.125)


風邪っぴきの身にしみる、アンラッキーちゃんの音の響き。
「決意の夜」良かった。


気になる新刊。
MARUU『うさぎのまんが (Feelコミックス)』(祥伝社


幸運にも、仕事が手早くまとまって、
早々に退勤、雨に濡れた道を小走りでキタへ。
BOOK EXPO へと駆け込むも、商談会とか初めてもぐりこんだので、
どうしていいか分からず、とりあえず上着だけクロークに預けてみる。
いつまでもぼやぼやしてられず、何人かの知り合いの人とことばを交わし、
勢いをつけてから、いくつかの版元さんのブースへと突撃してみた。
小一時間ほどの散策でも、多少は勉強になったはずだと自らを慰め、
エスカレーターで地上へと帰っていく。空腹もそのままに、
イベント前に横綱の胸を借りるべく、さらに上の階へと。


まずはレジカウンターで今日の整理券を受け取り、本を購入。
それから本棚を軽く見て回る。面白そうだなーと思ったり、
ちょっと自分の仕事のことを思い出したりしながら、
次々と湧いてくる思いはどんどん上書きされる。


購入。紀伊國屋書店グランフロント大阪店。
花田菜々子、北田博充、綾女欣伸『まだまだ知らない 夢の本屋ガイド』(朝日出版社


『はじめの海外文学フェアVol.2』もやっていた。
きれいなフェア帯の巻かれた海外文学の本たち、
フェア帯目当てに、気になっていた一冊を、
購入、とまではいかず、時間となり売り場奥の会場に。


『まだまだ知らない 夢の本屋ガイド』刊行記念トークイベント。*1
お話するのは、本は人生のおやつです!!、の店主、坂上友紀さん、
ツイッターで(僕には)おなじみ、積読書店員ふぃぶりおさん。


虚構と現実、仮面と素顔の間の綱渡り。
坂上さんの、エネルギッシュな身振りと笑顔に励まされ、
会場から採録される「夢の本屋」の話に唸り声をあげる。
イベント中に回されてきた『片隅』*2という九州の本を、
買うことにする。1〜3号まであったが、
回ってきた3号に若松英輔の名前があり、
それにした。


購入。紀伊國屋書店グランフロント大阪店。
『片隅 03』(伽鹿舎)


前に一度だけご挨拶させていただいたふぃぶりおさんと、
イベントのあと、少しだけお話する。熊本での生活の実際などは、
熊本にいる人にしか、わからないだろう。わからないだろうけど、
今、目の前にいるこの人は熊本で暮らしていて、本を扱っているのだ。
いつか、熊本に行けるだろうか。本屋さんがぎゅっと詰まっているそうな。
行きたい。


購入した2冊の入った濃い紺色のビニール袋をさげて、
なんとなく、あと1冊買っておきたい気になっていた。
この2冊は、いわば、イベントに「買わされた」2冊だ。
できればイベントとは関係なく、自分よりの文脈から手を伸ばせる本を。


とはいえ、鞄のなかは、いただいた注文書や目録やらで、
ぎゅうぎゅうの重・重だし、今日のところはこれで打ち止め。
ふと、スタバの前に出てしまって、おなかもすいていたし、
何か買っていこうとカウンターの前に立つ。


前にときどき飲んでいた、白くて甘くてあたたかいやつを頼もうとしたが、
名前が出てこない。メニューにも見当たらない。スタバのお姉さんと、
あーでもない、こーでもないと問答を交わしながら、おそらくは、
というものにたどり着いて注文。スコーンみたいのも頼んだ。
「冷めないうちに」とくぎを刺されたので、どきどきしながら、
環状線のホームでその「キャラメルスチーマー」を飲んでみる。
あぁ、これでした。そうでした。合ってました。覚えておけるだろうか。


車中のとも。
宮下奈都『はじめからその話をすればよかった (実業之日本社文庫)』(実業之日本社


「おついたち」「チョコレート」「パン」、良かった。
小説の感想はネタバレが気になってなかなか書けないのだが、
この本のエッセイも読んでいくときの驚きが大きな魅力だし、
「良かった」としか言えなくてふがいない。昔の恋から、
現在への飛躍がもたらすさわやかな驚き。


僕はといえば、夢の話も、昔の恋の話も、
現在へと飛躍できず、うとうとするばかり。