雨降りの夜、文庫X現る!


雨が降るそうで、傘を持って出る。
空は、なんとなく曇っている。
雨が大好きなわけではない。
でも、久しぶりの雨には、
ちょっとホッとする。


車中のとも。
片岡義男日本語の外へ (角川文庫)』(角川文庫)

次々に更新されていく速度が一定以上に保たれるとき、そのなかでの生活は、現実の動きについていくという充実感に満ちた、受け身の生きかたとなる。自分もついていけてるなら、すべてはうまくいっている。ついていけてることのなによりの証明になってくれたのは、少なくとも戦後の五十年間では、自分もどこかの会社に勤め、さまざまな新発売製品を人より遅れることなく購入することだった。(p.441)


日曜出勤の後の月曜は、
なんとなく、下準備をすませている気分で、
落ち着いて働くことができますなぁ。いやまぁ、
雑誌の入荷が少なかっただけなんだろうけれども。


気になる新刊。
茨木のり子 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)』(河出書房新社


早めに退勤。
朝には差さずに済んだ傘を、帰りには使わざるを得ない。
雨。


購入。ブックオフジェイアール鶴橋駅店。
今野真二超明解! 国語辞典 (文春新書)』(文藝春秋
永江朗広辞苑の中の掘り出し日本語 (新潮文庫)』(新潮社)
中崎タツヤもたない男 (新潮文庫)』(新潮社)
益田ミリオレの宇宙はまだまだ遠い』(講談社
かわぐちかいじ沈黙の艦隊(5) (講談社漫画文庫)』(講談社


車中のとも。
片岡義男日本語の外へ (角川文庫)』(角川文庫)


「あらかじめ約束されている結果を誰もがめざす。そのような毎日を誰もが送る」(p.474)
片岡さんの描く日本人の様々が、自分を戯画化されているようで、苦い。


奈良では、さらに雨脚が強くなっていた。
鞄を抱えて、傘を差して、ゆっくり歩く。
郵便受けに見慣れない茶封筒が入っていた。


「さわや書店!」


DMでお願いしていた「文庫X」が、雨の中、
奈良までやって来た。ようこそ!ようこそ!


慎重に、封筒を開ける。丁寧に、納品書なども入っている。
シュリンク袋に入った本には、さわや書店のカバーが巻いてあるようだが、
おそらく、保護用にしてあるだけでその下には例の「煽り文の書かれた覆面」があるに違いない。
袋を開ける。ほうら、思った通りだ。覆面をつけた文庫Xがシュリンクされていて、
その外側に文庫用カバーを巻きつけてある。これは覆面を外したあと、
ブックカバーとして使うこともできるようにという配慮もあるだろう。
でも、まぁ、あれでしょ、せっかくだから、覆面かぶせて読むでしょ。


「あ、あのひとが読んでるあれ、『文庫X』じゃないの?」
「うそー、盛岡、行ったのかしら」


行ってません。
通販です。


読了。
さわや書店文庫担当長江さんによる「文庫X」の推薦文。


今すぐ盛岡に行くことはできないけど、どうしてもこの「文章」を読みたかった。
いや、正確に言えば、文章が読めればよかったわけではない。TLに現れる画像を、
拡大してまで読もうとはしなかった。このカバーにくるまれた「文庫X」を手に取りたかった。
手に取って、読みたかった。できれば店頭でお会いしたかったのは言うまでもない。
そのままレジに行けたら最高だ。でも、盛岡は、ちょっと遠い。モリグチさんなら、
いざしらず、飛べないとりには東京以北は、ちょっと遠すぎる。
送ってもらって良かった。まだシュリンク袋は破いてない。
天の様子を見たり、厚みを確かめたりしてる。
こうして愛でることでもう、十分に、
堪能したと言ってよい。