上機嫌のリレー

予報通りの、雨。先日の東京行きで傘をなくしたので、
仕方なく、折りたたみ傘で出かけた。車中の扱いが難儀で、
家から差すときは大きい傘を持っていきたいのだが、
あんなにあったビニール傘はいつの間にか、
すべてどこかに消え失せていた。


電車に乗りこむと、案外、朝っぱらから、
折りたたみ傘で来ている人の姿が目に入る。
今まで、他人の傘のことなど見てもいなかったな。
少し、機嫌が直る。ペットボトルの飲み物を口に含む。


 あたたかいペットボトルを求めても君は去り行くさようなら冬


車中のとも。
沢木耕太郎246 (新潮文庫)』(新潮社)


たくさんのふしぎ』1987年5月号「ハチヤさんの旅」気になる。


今日は、奥さまへのホワイトデーの贈り物を買いに来た男性を接客。
影響されて、妻と娘にロールケーキを買って帰る。


今日はそれほどいじけた気持ちでない。このくらいの気分を維持できたらいい、
とも思ったが、機嫌よく過ごしてその気分のよさが回りに伝染したなら、
その後、自分の機嫌が維持できなくとも、巡り巡っていつかのご機嫌が、
戻ってきてくれるんじゃないかな、と、シャワーを浴びながら思いついた。
大事なのは、自分の上機嫌を必死に守ることではなく、その快さを、
誰かに手渡してゆくことだ。