水無瀬×長谷川×世田谷=♪

アナタが綴る世界


走って、走って、始業時間に間に合う。
少しずつ、ぼくのタイムは遅くなっているはずだ。
村上春樹がマラソンを始めた年齢は、
もうとっくに過ぎてしまった。


ぼくはマラソンを始めないまま、
駅までの、駅からの小走りに終始している。


読み聞かせで、セーラーとペッカを読もうかと、
娘のやつを持参したのだが、客層を見て、とりやめ。
なかなか、大勢の、年齢層もばらばらな聴衆に読み聞かすのは、
むつかしいのかもしれないな、と今さら。


期待以上に早く退勤、環状線を北上し、
阪急線を探す。どうしてぼくは阪急の改札口で、
「阪急」という表示を見つけられずに不安になるのか。
改札を入って「これ、JRじゃないよね?」って、
前回、長谷川書店さんに行ったときも思った。


そしてまた今日も、水無瀬に行く電車が分からず、
駅員さんに尋ねる。ケータイの電池が少なくなってきて、
強制的にTLから身を引きはがして、本を読む。


車中のとも。
細馬宏通うたのしくみ』(ぴあ)

「あの日」は、語り手だけが思い出すことのできる日であり、つまりそこではきき手には触れることのできない想起が現在進行中であり、いくら「確かに」と言われても、その確かさは語り手だけのものです。(p.83)


ふだん、まったく気にも留めていない歌詞のあれこれを、
とてもわかりやすく、「言われてみればなるほど、そうかも」
という風に教えてくれる兄さん。メロディとか楽器のことは、
説明されてもちんぷんかんぷんだけれども、ふーん、ふーん、
と読み進めていく。面白い。


駅員さんに教わった通り、高槻市駅で乗り換えて、
早々に、水無瀬の夜に到着する。二度目の水無瀬。
車窓から、団地の灯りが見えた。ホームに出れば、
がらんとした感じ。今日は迷わず、改札を出て、右。


店の中は、ざわついている。長谷川さんも準備をしているようだ。
入ってすぐ右の棚に取りつく。働き方の本や、文芸書、文庫新刊。
書名すら知らない本がいくつもあって、まず奥付を見てしまう。
存在は知っていたけど実物を初めて見る本もある。
心なしか、中高生向け、もしくは、教育関係の、
若者へ関心を抱く本が集まっている気がする。
隣国についての本もある。何を残して、
何を置かないのか、自分の仕事について、
振り返ってしまう。これはうちにもある。これは、ない。
そのうち、長谷川さんに見つかってしまう。こんにちは、来ました。

世田谷ピンポンズ インブックストア ライブ

   『水瀬の夜は今。』


2015年2月14日(土) 

長谷川書店 水無瀬駅前店
(大阪 阪急水瀬駅下車 目の前)
(JR島本駅下車 徒歩10分)

開演20:30〜
店内が狭いため、立ち見も含みます、ご了承くださいませ。
料金¥1000

★ピンポンズさん書き下ろし 特典ペーパー配布あり!
★当日19時30分頃より、地元の焙煎珈琲”大山崎COFFEE ROASTERS”さんのプチ出店あり!


ライブの受付をする。栞をいただく。
世田谷ピンポンズさんも、店内で準備をされていて、
ご挨拶する、ライブタイトルを習字で書いたり、あれこれと。
ライブの後の物販は混むだろうから、先にこれだけは買おうと、
又吉さんとのコラボCDを手にする。そして、恵文社一乗寺店や、
ガケ書房や善行堂でも買えなかった『本屋会議』を、
「じゃ、いったいどこで買うつもりなんだよ!」と、
泣きそうになっていた、あの『本屋会議』を抱える。


京都からの家路にて悶々としていた去年のぼく*1に、
「だいじょうぶだよ」と言ってやりたい。
これなら、文句ないだろう?泣くなよ。


水無瀬の夜に、長谷川書店で『本屋会議』を買う。


購入。長谷川書店。
本屋図鑑編集部『本屋会議』(夏葉社)
世田谷ピンポンズ『アナタが綴る世界』(キャッチ&リリース)


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
柴田元幸MONKEY Vol.5 ◆ 死者の歌――イギリス・アイルランドの物語』(スイッチパブリッシング)
BRUTUS(ブルータス) 2015年 3/1 号 [雑誌]』(マガジンハウス)
石井光太ぼくたちは なぜ、学校へ行くのか。: マララ・ユスフザイさんの国連演説から考える (単行本)』(ポプラ社
伊勢崎賢治本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社
木村緑『ひとり料理 これだけあれば』(京阪神エルマガジン社


BRUTUS(ブルータス) 2015年 3/1 号 』
特集は、「次は誰? 明日を切り開く人物カタログ。」
表紙は、藤田貴大。蜷川幸雄との対談も掲載。


買い物をして、いったん外へ出る。
何かお腹に入れておこうと思ってうろつくも、寒い。
コンビニでピザまんとおにぎりを買う。駅前の、
水無瀬の観光案内看板を、見る。これも、二度目。
水がおいしいらしい。水がおいしい土地で、
コンビニおにぎりなぞを食べてすみません。
なるべくお金を残して、あとでまた、
なにか欲しくなったとき、
買えるようにしたいから。


長谷川書店さんに、戻る。
少しずつ人が増えてくる。
コーヒーの販売も始まる。
ひとつ、お願いした。
席の案内が始まる。
一番前、一番左。


譜面台でピンポンさんの顔が、
絶妙に見え隠れする位置。
さきほどの習字を、
長谷川さんが本棚に貼り出す。
なんかごにょごにょ聞こえたと思ったら、
貼る位置について見てくれとお願いされていたようで、
びっくりする。すごく不安定な態勢で、長谷川さんが立っている。


以前、「夏葉社 5周年記念フェア」で見た、
島田潤一郎さんの、本を手にしてポーズをとっている写真の切り抜きも、
正面の本棚に、据えられた。長谷川さんが挨拶をし、
島田さんと共謀してすすすと上げられたハードルを、
ひらりと飛び越えて登場したピンポンさんは、
たくさんの星を水無瀬の夜に撒き散らした。


開演前に「水無瀬の夜は今」の冊子を読んで、あぁ、
この感じはとてもいいなぁ、と安心してライブに突入したのだが、
思ってた以上に濃厚なユーモアMCに、終始笑いっぱなしであった。
申し訳ない。そうして、純情すぎる慕情をごまかしきれない声が、
ギターとともに、ぐっさぐっさとぼくの感傷を突き刺しまくる。


こんなにも温かい高架下ライブの奇跡。


購入。長谷川書店。
世田谷ピンポンズ『天井の染みを数えている間に』(キャッチ&リリース)


帰宅して、妻子からの置き手紙とチョコレートケーキを撮影するために、
いったんケータイを充電してから撮影しようとして充電足りてなくて、
また充電器に戻して牛乳を温めて、ようやく撮影して、納得できず、
なんどか撮りなおそうとしてまたしても充電切れて諦めて、
ピンポンさんに刺激されたセンチメンタルを弄び、
昔のブログ記事を読みなおしたりしてしまった。

*1:恵から善へ駆けていく夜、ガケ経由。:http://d.hatena.ne.jp/tori810/20141221