偶然の交換会


三人で過ごす日曜日。
洗濯をしたり、遊んだり。
娘が昼寝をしている間に、
出かける時間が来る。


読了。
矢萩多聞『偶然の装丁家 (就職しないで生きるには)』(晶文社


急いで読んでしまった。
急いで読んではいけない本だったのに。
ひとつひとつの話題にぐっとこころをつかまれては、
また次の話題にぐっときて、まだまだこんな話題もあったか、
わーわー、と大騒ぎで読み進め、そしてあとがき。


しん、とした気持ちになる。初読のときも思ったけど、
これは「ぼくにとって」とても大切な一冊だ。
それを、どう紹介できるか。今日の会で、
ぼくはこの本を、差し出す。


車中のとも。
みすず 2014年 02月号 [雑誌]』(みすず書房


『みすず 2014年1・2月合併号(読書アンケート特集)』
最初に、長田弘のを読んだ。なぜか後ろから前へ戻って読んでいる。
あまり丹念に追わずに、目にとまった書名や人名を拾ってゆく。
大竹昭子の紹介している堀江敏幸『河岸忘日抄』*1
改めて、気になる。読みたい。


「新刊旧刊を問わず昨年出合った印象的な本をめぐって」(p.118)という方式、
良いよね。


待ち合わせの時間より、少し早目に梅田に出た。
グランフロント大阪で、横綱の胸を借りよう。
他にもいろいろ回ろうかとも思っていたが、
やっぱり横綱は強すぎて、こてんぱんにされ、
長い時間、うろうろすることになった。そうして、
かろうじて、ブックファースト梅田2階店、
そして紀伊國屋書店梅田本店に立ち寄ることができた。


梅田本店も、横綱だった。


気になる新刊。既刊もあるデヨ。
片岡義男10セントの意識革命』(晶文社
片岡義男町からはじめて、旅へ』(晶文社
片岡義男ロンサム・カウボーイ』(晶文社
世阿弥・著、夏川賀央・現代語訳『風姿花伝 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ)』(致知出版社
尾崎俊介S先生のこと』(新宿書房
黒井千次漂う 古い土地 新しい場所』(毎日新聞社
岡本仁『果てしのない本の話』(本の雑誌社
土居豊『沿線文学の聖地巡礼―川端康成から涼宮ハルヒまで』(関西学院大学出版会)
松本和也平田オリザ 〈静かな演劇〉という方法』(彩流社
伊勢崎賢治本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社
大河内博『ブルネイでバドミントンばかりしていたら、なぜか王様と知り合いになった。』(集英社インターナショナル
原武史皇后考』(講談社
最相葉月れるられる (シリーズ ここで生きる)』(岩波書店
田原牧『ジャスミンの残り香 ──「アラブの春」が変えたもの』(集英社


購入。紀伊國屋書店グランフロント大阪店。
カール・マルクス、植村邦彦『ブリュメール18日 (平凡社ライブラリー)』(平凡社


前回、冊子をいただいただけで帰ってしまった「じんぶんや第100講」から、
一冊。内田樹推薦の、これを。ぱらぱらしたら、止められなくなり、
どうせ最後まで読めないだろ、という全身からの忠告を無視しての。


ブクブク交換@hm印。
hmさん以外、初対面。
はじめはぎこちなく進んだ会話も、
気がつけば料理に手をつけないまま、
本の紹介も途中のまま、盛り上がり。


本の話は、もちろん出たのだが、
音楽の話、絵の話、仕事の話、あとなんだ、
知らない人とでも、こんなにも話ができるのかと、
さまざまな引き出しを持っている大人たちを前に、
ひたすら大仰に手を動かし顔をゆがめて愉楽を表明する。


わたしはいま、楽しんでいます!
わたしはいま、楽しんでいます!


そうして、もう店から追い出されるのでは、
という時間になって、二転三転しながらなんとか、
ブクブク交換が成立した。こんだけ楽しかったのに、
まだ本の交換が残っていたか、と、ぜいたくな気分。


差し出したのは、矢萩多聞『偶然の装丁家』(晶文社)、
いただいたのは、細馬宏通『うたのしくみ』(ぴあ)*2
『荒唐無稽音楽事典』(焚書舎)。


本の交換会、毎回、もったいないくらいいい本がやってくる。
森本書店さん、ありがとうございました。


皆様から、寄せられた本。
沢村凛ディーセント・ワーク・ガーディアン (双葉文庫)』(双葉社
『House"n"Landscape 第一号』(もじゃハウスプロダクツ*3
大槻ケンヂ40代、職業・ロックミュージシャン 大人になってもドロップアウトし続けるためにキッチリ生きる、'80年代から爆走中、彼らに学ぶ「生きざま」の知恵 (アスキー新書)』(アスキー・メディアワークス
岡本太郎自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか (青春文庫)』(青春出版社
布施英利『構図がわかれば絵画がわかる (光文社新書)』(光文社)


分不相応にアルコールを摂取したので、
頭痛を抱えながら家を目指す。


そうそう、今日の集まり、
書店員は、ぼくとhmさんだけ。


とほんさんのとこの本の交換会でも思ったけど、
いろいろな人と本を媒介にしてお話するのは、
とても楽しい。まぁ、書店員禁制とかだと、
ぼく自身が参加できなくなってしまうから、
あれなんだけど、なんというか、
「本を読む」という行為が、
必ずしも自己完結しなくても、
誰かと何かを交換するきっかけになっても、
面白いんじゃないかな、ということを思った。


いや、自己完結でいいんだけどね。
交換しなくていいんだけどね。


でもまぁ、本や本屋さんが大好き、でない人で、
それでもときどきは本を読んだりする人が、
どんな風に本を読んだり語ったりするかを知るのも、
ぼくにとって、とても嬉しいことなんです。


またお会いしましょう。

*1:堀江敏幸河岸忘日抄 (新潮文庫)』(新潮社)

*2:細馬宏通うたのしくみ』(ぴあ)

*3:もじゃハウスプロダクツ:http://mojya-house.com/