OSKというスイッチ
ゆうべは、OSKでの交換文庫を選びつつ、
ついつい遅くなってしまった。前回のOSK、
年末のとほんさんのパーティーに続いて、
本を交換する三度めの機会。
特定の人に贈る本を選ぶのですら難しいのに、
誰に届くか分からない本、文庫という限定はあるが、
特にテーマもなく、自由。簡単に思えるかもしれないけど、
迷いだすと永遠に結論を出せなくなってしまうのですよ。
朝、車内でケータイを眺めていて、
しょーたろさんの、「誰も選ばなそうな本を探す楽しみ」
ということばに触発されて、交換本の探し方について、
発想の地平が開けたような気がする。駆け出してみる。
書き出してみる。
交換本の探し方のヒント。
最近おすすめの本、
かねてからおすすめの本、
自分が大好きな本、
出たばかりの本、
1年前の本、
5年前の本、
10年前の本、
子どもの頃に読んだ本、
誰も選ばなさそうな本、
自分が読みたいけど読んでいない本、
当日に本屋さんで出会った本。
渡す相手について考える。
集う人々の属性について考える。
いま、鞄に入っている本について考える。
現在の世界情勢について考える。
現在の家庭状況について考える。
現在の財布の中身について考える。
酔っ払った自分が何を言い出すかについて想像する。
今日は雑誌の入荷が少なかった。
書籍の方も、そうでもない。
悲しいかな、お客さんも。
これはかなり早く退勤して、
OSKの前に本屋さんを回って、
あわよくば、もっといい文庫を一冊、
見つけて、なぞと考えるも、予測がつかない本屋業。
思いのほか遅くなってしまい、大阪へと急ぐ。
そのまえに、購入。
『文學界 2015年 2月号 (文学界)』(文藝春秋)
『一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本 (男の隠れ家教養シリーズ)』(三栄書房)
「ピース」又吉直樹の小説掲載、と話題の『文學界』と、
買い逃していた『『一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本』を。
このあとOSKに行くってのに、どうしてだよ、荷物増えるよ、
今度にしなよ、という脳内ごもっとも意見には耳を貸さない。
けっきょく、時間ぎりぎりに待ち合わせ場所に到着。
マリ猫・ネコ村さまに、「ぶんこ・でいず」一束をいただく。
今日はとほん*1スナガワさんの姿も。ああ、すごく安心する。
人々のあとをついて移動。ひとりで帰れる自信ない。
25人、くらい、の大所帯。こんな大きな飲み会、
いつ以来だ?卒業式?座ってみれば、一番奥の人の顔も、
かろうじて見える。だいじょうぶ。ここは体育館じゃない。
なじみのスナガワさんとは「遠くに座りましょう」と言いつつ、
向かい合わせに席をとり、おかげで2月のお話ができてよかった。
今回も、千葉、東京、浜松、奈良(奈良!?)など、
遠方からの参加者もあり、途中退席、途中参戦と、
嵐の吹き荒れる梅田ダンジョン地下深いお店で、
文庫交換会も行われました。遠くの人の声は、
ちょっぴり聞き取りにくかったけど、
それはまぁ、酒弱なあたしが酔っていただけ、
耳のかっぽじりが足りなかっただけなのだろう。
差し出した本。
つげ義春『義男の青春・別離 (新潮文庫)』(新潮社)
いただいた本。
マーク・トウェーン、村岡花子『王子と乞食 (岩波文庫 赤 311-2)』(岩波書店)
『王子と乞食』いただいたのは、書店員1年目、かな、の方から。
ご挨拶のとき、なぜか「末永く働いてください」みたいなことを口走ってしまった。
「王子と乞食」は子どものころに子ども向けの本で読んだっきり。
これ、村岡花子さんの翻訳なのですね。楽しみ。
柴田元幸さんが訳す前に、急いで読もう。
お隣に座っていたS氏とお話していて、(非書店員だそうです)
「はぁ、この人の話を聞いていると読みたくなるわ!」と思う。
こういうおすすめ上手、というか「それ気になるなぁ」というスイッチが、
世の中に蔓延すると、人々はもっと本を読んだり買ったりするのではないか。
あたしがもっと、スイッチを量産できたらいいんだけどなぁ。
読みたくなった本。
北村薫『空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』(東京創元社)
クリスマス時期近くが読み時だそうなので、
今年の11月末に読みだすことを決意。
こないだ買った『飛ぶ教室』*2も読み逃してるので、
そいつと合わせてクリスマス向け読書だな。
Sさんとは、電子書籍や「自炊」の話もして、
とても興味深かった。これだけ読む人でも、
最近は紙の本では読んでいない、というのが、
とても面白い(?)と思いました。むしろ、
たくさん読む人の方が、電子書籍を好むのかも。
両手がふさがっていてもページキープできるとか、
食事しながら読めるとか、読みへの熱意を感じた。
いや、参照事例がひとりだけなので、あれですが。
僕の場合は、読むより買う、買うより眺める、という感じなので、
電子書籍に手を出すのは、老眼が進んでからになるのかなぁ。
反対隣りにいらしたむつみんさんと、紙や動画でいろいろ遊ぶ話をしていて、
そういうのもまた、楽しいスイッチになりうるので、いいなーと思った。
誰かのスイッチ作りを応援したり加勢したりするのも、意味があるね。
というわけで、とほんさんの動画紹介を心待ちにしています。
そんなとほんスナガワさんの締めの挨拶に、身を震わす。
はい、今年も、本の業界を盛り上げていきましょう、身の周りから。
帰り際、ミナクチさんから、本のフリーペーパーをいただく。
おぉ、ここにもスイッチを持った方がいらっしゃる。
OSK新年会、私の中の、たくさんのスイッチを押されました。
ありがとうございました。
このブログも、誰かのスイッチになりますように。
*2: エーリヒ・ケストナー、池内紀『飛ぶ教室 (新潮文庫)』(新潮社)