OSKというスイッチ

王子と乞食 (岩波文庫 赤 311-2)


ゆうべは、OSKでの交換文庫を選びつつ、
ついつい遅くなってしまった。前回のOSK、
年末のとほんさんのパーティーに続いて、
本を交換する三度めの機会。


特定の人に贈る本を選ぶのですら難しいのに、
誰に届くか分からない本、文庫という限定はあるが、
特にテーマもなく、自由。簡単に思えるかもしれないけど、
迷いだすと永遠に結論を出せなくなってしまうのですよ。


朝、車内でケータイを眺めていて、
しょーたろさんの、「誰も選ばなそうな本を探す楽しみ」
ということばに触発されて、交換本の探し方について、
発想の地平が開けたような気がする。駆け出してみる。


書き出してみる。


交換本の探し方のヒント。


最近おすすめの本、
かねてからおすすめの本、
自分が大好きな本、


出たばかりの本、
1年前の本、
5年前の本、
10年前の本、
子どもの頃に読んだ本、


誰も選ばなさそうな本、
自分が読みたいけど読んでいない本、
当日に本屋さんで出会った本。


渡す相手について考える。
集う人々の属性について考える。
いま、鞄に入っている本について考える。
現在の世界情勢について考える。
現在の家庭状況について考える。
現在の財布の中身について考える。
酔っ払った自分が何を言い出すかについて想像する。


今日は雑誌の入荷が少なかった。
書籍の方も、そうでもない。
悲しいかな、お客さんも。


これはかなり早く退勤して、
OSKの前に本屋さんを回って、
あわよくば、もっといい文庫を一冊、
見つけて、なぞと考えるも、予測がつかない本屋業。
思いのほか遅くなってしまい、大阪へと急ぐ。


そのまえに、購入。
文學界 2015年 2月号 (文学界)』(文藝春秋
一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本 (男の隠れ家教養シリーズ)』(三栄書房


「ピース」又吉直樹の小説掲載、と話題の『文學界』と、
買い逃していた『『一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本』を。
このあとOSKに行くってのに、どうしてだよ、荷物増えるよ、
今度にしなよ、という脳内ごもっとも意見には耳を貸さない。


けっきょく、時間ぎりぎりに待ち合わせ場所に到着。
マリ猫・ネコ村さまに、「ぶんこ・でいず」一束をいただく。
今日はとほん*1スナガワさんの姿も。ああ、すごく安心する。
人々のあとをついて移動。ひとりで帰れる自信ない。


25人、くらい、の大所帯。こんな大きな飲み会、
いつ以来だ?卒業式?座ってみれば、一番奥の人の顔も、
かろうじて見える。だいじょうぶ。ここは体育館じゃない。
なじみのスナガワさんとは「遠くに座りましょう」と言いつつ、
向かい合わせに席をとり、おかげで2月のお話ができてよかった。


今回も、千葉、東京、浜松、奈良(奈良!?)など、
遠方からの参加者もあり、途中退席、途中参戦と、
嵐の吹き荒れる梅田ダンジョン地下深いお店で、
文庫交換会も行われました。遠くの人の声は、
ちょっぴり聞き取りにくかったけど、
それはまぁ、酒弱なあたしが酔っていただけ、
耳のかっぽじりが足りなかっただけなのだろう。


差し出した本。
つげ義春義男の青春・別離 (新潮文庫)』(新潮社)


いただいた本。
マーク・トウェーン、村岡花子王子と乞食 (岩波文庫 赤 311-2)』(岩波書店


『王子と乞食』いただいたのは、書店員1年目、かな、の方から。
ご挨拶のとき、なぜか「末永く働いてください」みたいなことを口走ってしまった。
「王子と乞食」は子どものころに子ども向けの本で読んだっきり。
これ、村岡花子さんの翻訳なのですね。楽しみ。
柴田元幸さんが訳す前に、急いで読もう。


お隣に座っていたS氏とお話していて、(非書店員だそうです)
「はぁ、この人の話を聞いていると読みたくなるわ!」と思う。
こういうおすすめ上手、というか「それ気になるなぁ」というスイッチが、
世の中に蔓延すると、人々はもっと本を読んだり買ったりするのではないか。
あたしがもっと、スイッチを量産できたらいいんだけどなぁ。


読みたくなった本。
北村薫空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』(東京創元社


クリスマス時期近くが読み時だそうなので、
今年の11月末に読みだすことを決意。
こないだ買った『飛ぶ教室*2も読み逃してるので、
そいつと合わせてクリスマス向け読書だな。


Sさんとは、電子書籍や「自炊」の話もして、
とても興味深かった。これだけ読む人でも、
最近は紙の本では読んでいない、というのが、
とても面白い(?)と思いました。むしろ、
たくさん読む人の方が、電子書籍を好むのかも。
両手がふさがっていてもページキープできるとか、
食事しながら読めるとか、読みへの熱意を感じた。


いや、参照事例がひとりだけなので、あれですが。


僕の場合は、読むより買う、買うより眺める、という感じなので、
電子書籍に手を出すのは、老眼が進んでからになるのかなぁ。


反対隣りにいらしたむつみんさんと、紙や動画でいろいろ遊ぶ話をしていて、
そういうのもまた、楽しいスイッチになりうるので、いいなーと思った。
誰かのスイッチ作りを応援したり加勢したりするのも、意味があるね。
というわけで、とほんさんの動画紹介を心待ちにしています。


そんなとほんスナガワさんの締めの挨拶に、身を震わす。
はい、今年も、本の業界を盛り上げていきましょう、身の周りから。


帰り際、ミナクチさんから、本のフリーペーパーをいただく。
おぉ、ここにもスイッチを持った方がいらっしゃる。


OSK新年会、私の中の、たくさんのスイッチを押されました。
ありがとうございました。


このブログも、誰かのスイッチになりますように。