未熟者はパイナップルを切る

発作的座談会 (角川文庫)


日曜日。
ぼくは休みだが、妻は仕事。
水ぼうそうちゃんと、ふたりの日曜日。


となりのトトロ」を見ている間に、
洗濯物を干す。昼寝をしている間に、
本を読む、つもりがこちらも沈没。
イスに座ったまま寝たら体が痛い。


体の痛みに耐えかねて目が覚めると、
娘はまだ寝ていた。場所を変え、
姿勢を変え、本を変えて、読む。


夕方のとも。
椎名誠木村晋介沢野ひとし目黒考二発作的座談会 (角川文庫)
角川書店


注が面白い。注でたびたび突っ込まれている、
沢野ひとしの脈絡の向こう側にはみ出す発言も、面白い。
出てくる雑誌の古さも、よい。FF雑誌て。
沢野ひとし「困った連中」も良かった。


『哀愁の町に・・・』*1他、一連のシーナ私小説を読み返したくなった。

三日ぐらい前から発売日が待ち遠しくてさ、その日の朝なんか、起きた途端に「あ、きょうは発売日だ」なんて思っちゃう。そういう雑誌、今はないな。そういうのを三冊ぐらい、ずーっともってる人生って豊かだよな。(p.38-39 椎名誠の発言)


ミシマ社さんから届いた『善き書店員』*2のFAXを読んでいて、
新文化」5/15号でこの本が紹介されたというコラム*3の、
「お客様に寄り添った態度で接しているかどうか」ということばに、
先ほど娘を怒鳴りつけた自分の情けなさがじゅうじゅうと音を立てている。


人に対して、感じよく接すること。
愛娘に対してさえ、意地悪く当たってしまうぼくが、
いったい誰に対して感じよく接することができるというのか。


修行が足りん!


仕事でくたびれて帰った妻に、夕飯を作ってもらう。
ぼくは、パイナップルを切ったりしたけれど、
そこは誰も求めていないところだ。
なぜ、夕飯の準備をしてなかった。


夜、娘は眠り、妻はうたた寝をし、
ぼくはなんとなく寝るのが惜しくて、
『発作的座談会』をパラパラしながら、
ウフフと笑ったりしていた。

*1:椎名誠哀愁の町に霧が降るのだ〈上巻〉 (新潮文庫)』(新潮社)

*2:木村俊介『善き書店員』(ミシマ社)

*3:書店員コラム「本を手渡す人」MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店・樽井恭子さん