とり、名古屋の本屋さんにゆく

なごや古本屋案内


知人の芝居を見に行くために、名古屋へ。
夜明け前に高速バスに乗り込んだ。
薄暗い奈良公園に、シカのシルエット。


オカタケ師匠と違って、ぼくはバス内では本を読めないたちなので、
ケータイでいろんな人にメールを打ったりしているうちに、
あっという間に名古屋に着いてしまった。ち、近いな。


地下鉄の一日乗車券を買って、千種へ。
ちくさ正文館本店をめざす。マップヘイターを気取るも、
まったくたどり着ける気がしないうえにあまりに寒かったので、
そそくさとケータイで地図をたどる。(←スマホではない)


JRの駅を越えて大通りに沿って歩いていくと、
ほどなくちくさ正文館本店にたどりついた。近い。
お姉さんが、シャッターを開けたとこだった。
家でかじったトーストはとっくに消化され、
ハラガヘッテハイクサハデキヌと喫茶店を探す。


だいぶん、歩いて商店街の中に見つけた喫茶店
新人さんらしい女性が先輩に教わっているのを横目でにらみつつ、
モーニングサンドセットの前に『古本の時間*1をひと読み。


さて、そろそろ本店に向かうかと思った頃、
昼過ぎに会う約束の友人から電話あり。
「打合せ終わったから、金山来てよ」
呼び出されて、表へ飛び出す。


素通りはいやだなー、と店の前を通ったら、
絵はがきがあったので、飛び込んで購入。
店の中を通って反対側から出る。滞在時間、2分弱。
それでも、迫力十分の本たちがギロリとこちらをにらんでいたので、
ちびりそうになる。「あとでのお楽しみだな」


せっかくの一日乗車券だったが、JRのが便利だったので、
イコカ使って改札を抜け、金山へ急ぐ。シマウマ書房さんに行けたらな、
という下心もあっての一日券だったが、果たしてちくさ正文館を
3時間くらいで切り上げられるのか。と思いながら車窓を眺める。


金山で、古い友人と、数年ぶりの再会。
モーニングセットとコーヒーで混みあった胃袋にランチを押し込みながら、
仕事の話、子育ての話を聞く。こちらは読んだ本の話をしていると、
なんだか自分が本ばかり読んで暮しているように聞こえる。
テレビ見ないし、話題の元が本しかないのがちょっとなー。


友人と来夏の再会を約束して別れる。今度は地下鉄でふたたび千種へ。
車中のともは、『古本の時間』。それにしても、名古屋の地下鉄、
人が多いなぁ。さっきの友人は東京のひとごみがイヤでこっちに来た、
と言っていたが、名古屋もけっこう人が多いよ?とそれは、
奈良と比べているからなのかもしれない、と思ったり。


二度目の千種、地下鉄から来ても今度は出口を間違えない。
地上に出て、明るい光の中、まよわずちくさ正文館本店へ。
二面あるうちの、さっき出てきた側の入り口から、改めて。
新刊が固まっている棚から雑誌を流し、ビジネス書と、奥へ進む。


途中、細くなっている通路を抜けて、文庫コーナー。
少し前の新刊や、何年も前に刊行されたものも並べて平積み。
ボクの大好きな、オカタケ師匠の『読書の腕前』*2まで平積み!
ナンダロウさんの『一箱古本市の歩きかた』*3も面陳で複数冊おいてあった。


暑くなってきて、コートを脱ぐ。小さな、マンガコーナー。
三月書房さん的な?選りすぐりのものをおいてある棚だ。
名古屋の映画館でかかる映画のDVDなのか、店内中央で、
映像が流してあって、ときどきそっちに意識をひっぱられる。


中央の通路を通って、さらにもう一つの区画へ。
と、そこには芸術書やら人文書やら、とても歯が立たないような、
それでいてなんとなく挑戦したくなるような本がずらり。
ようやく見たことがある本や著者の名前を見つけては、
おそるおそる手をのばしたり。詩の本も、たくさん。


高橋輝次『ぼくの創元社覚え書』がないか、探してみたが、
さすがにそれは、置いていなかった。いつまでも滞在していたくあったが、
せっかく名古屋に来たので、一軒くらい古本屋も行ってみたいよな、
と店内のそこここに積んである『なごや古本屋案内』をちらちら見る。
古田一晴さんの姿もあった。版元営業さんと、談笑しておられた。


購入。ちくさ正文館本館。
『棲 09 2013秋冬』(自由空間)


3時間もいられなかった。おなかいっぱい。
地下鉄で、本山駅へ。シマウマ書房へ。
今度こそケータイ使わないぞ、とウロウロするも、
ぜんぜん見つからない。仕方なく、ケータイを開く、
シマウマ書房を検索。あれ、駅からすごい近い・・・。


この辺だ、という見当がついたと思ったら、
ソフトバンクショップを見つけた。「すいません、充電、いいスか?」
ケータイを預けて、丸腰でシマウマ書房へ乗り込む。ここか!
階段を下りて、隠れ家的なムードのお店、まずは外の均一を。


お店の中、ボクには手が出ないふるーい本から、絵本や、
雑誌、もちろん文庫もあるし、雑貨みたいのもあって、
バラエティに富んでいる。あとからお客さんも入ってくる。
店番の女性が、店主相手だろうか、電話したりしている。


『パン語辞典』*4のチラシがある。原画展がまもなくあるそうだ。
残念な気がする一方で、始まってなくてよかったとも思った。
だって、もう、始まってたら本も買うわ原画も買うわ、
そのまま住み込みで働かせてもらうしかないところだ。


購入。シマウマ書房。
鈴木創『なごや古本屋案内』(風媒社)
吉本隆明父の像 (ちくまプリマーブックス (124))』(筑摩書房
八木幹夫『余白の時間』(シマウマ書房)


『余白の時間』は、蟲文庫さんのところでも見たが、
買わずにいてよかった。なんとなく本を買うときは、
その本のゆかりが深いところで買いたいと思ってしまう。
『なごや古本屋案内』も、それほど頻繁に名古屋に来れるでもなく、
所持していなくてもいいんじゃないか、このあと年末にかけて、
欲しい本がどんどん刊行されるぜ、どうする、おい、
と思いながら、もしもこの先どこかで欲しい!となったとき、
それはたぶん、かなり確実に起こることで、それならば、
やはりこの本はシマウマ書房さんで買っておきたい、
といろいろとココロの中で自分を説得して購入。


本当はどこかの喫茶店で、ちくさで買った絵はがきで、
あのひとに手紙を書こうと思っていたのだが、
とっぷりと日が暮れて開演時間も近づいて、
重い鞄を抱えて再び地下鉄に乗り込んだ。


芝居はたいそう、面白かった。
一緒にお酒を飲むつもりが時間切れ。
仕方なく、新幹線でひとりビールを飲んだ。
購入した戯曲を読んでいたら、あっという間に、
「まもなく京都」というアナウンスと、音楽。


慌ててビールを飲み干して、荷物をまとめる。
名古屋、近いな。


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
なかむらるみ『おじさん追跡日記』(文藝春秋
なかむらるみ『おじさん図鑑』(文藝春秋
屋上野球 Vol.1』(編集室 屋上)
鈴木信弘『片づけの解剖図鑑』(エクスナレッジ
桐山秀樹、石原恵子、菊地和男『部屋の記憶 映画監督、名優、文豪、芸術家が愛した空間を泊まり歩く、名旅館巡礼記』(六耀社)
多賀一雄『京都散策自転車BOOK―京都がもっと好きになる35コース』(京都新聞出版センター)
スプツニ子!『はみだす力』(宝島社)
上林格『この日のビートルズ (朝日文庫)』(朝日新聞出版)
内澤旬子捨てる女』(本の雑誌社
いとうせいこう存在しない小説』(講談社
杉山亮『ぼくは旅にでた: または、行きてかえりし物語』(径書房
ひこ田中『お引越し (福音館創作童話シリーズ)』(福音館書店
ケラリーノ・サンドロヴィッチケラリーノ・サンドロヴィッチ 消失/神様とその他の変種 (ハヤカワ演劇文庫)』(早川書房
山口祐二郎奴らを通すな!』(ころから)
高田敏子『高田敏子 暮らしの中の詩』(河出書房新社
セシル・ジョスリン、モーリス・センダック、こみやゆう『そんなとき どうする? (岩波の子どもの本)』(岩波書店
椎名誠飲んだビールが5万本! (とつげき! シーナワールド! ! 1)』(本の雑誌社
旦敬介『旅立つ理由』(岩波書店
池内紀子安美知子小林エリカミヒャエル・エンデが教えてくれたこと: 時間・お金・ファンタジー (とんぼの本)』(新潮社)