越境をそそのかすヒゲおやじ

車中のとも。
今江祥智さよなら、ピーター・パン―子どもの国からの挨拶、また (福武文庫)』(福武書店


「一九六〇年の夢のようなある週……」は、
今江祥智福音館書店に入った頃の回想記。
書き下ろしで、この文庫の冒頭に配置されることを
意識して書かれた導入部。面白い。

私がケストナーと出会えたのは中学校の教師をしたお陰であり、図書館係をさせられたせいである。図書室にあった岩波少年文庫ケストナーを読み、古本屋で見つけた三部作とあわせて読んで、この詩人に惹かれていた。作品と人物と生きっぷりに惹かれていた。(p.10)


その後は、子どもの本、子どもから大人までを対象とした
「児童文学」について、いろいろと熱く語っている。
筒井康隆に対して「児童文学」へ越境してきてほしいという、
ラブコールも送っている。(「オムライスのつくり方」)


いろいろと本も紹介されているが、気になったもの、いくつか。
谷川俊太郎せんそうごっこ (シリーズ・ちいさなつぶやき)』(ばるん舎)
今江祥智想像力の冒険―わたしの創作作法 (1981年)』(理論社