スキキライの混線

サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)


読了。
三島由紀夫サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)』(新潮社)


三島は、太宰治が嫌いだった、というエピソードだけで、
なんとなく、読んだら本が燃え上がってしまいそう、
みたいな、読んでたら後ろから怒鳴られてしまいそうな、
そんな恐怖すら感じて、今までほとんど読んだことがなかった。


三島由紀夫。ちょっと飾り立てたことばが多すぎる気がするけど、
ふつうに、面白い。←ああ、悲しいほどにぺったりとした感想だ。
ふつうに、面白いと思って読んだ。駅に降り立ってから、しばらく、
ホームに突っ立って読み続けた。キリが悪かったからといえばそうだ。
そうだけれども、途中で閉じることはできなかったのだ。


「自分が好きだと思っている人」を嫌い、もっと言えば憎んでいる人に対して、
どうやってつきあったらいいのだろう。サド侯爵を愛する公爵夫人、
サド侯爵を憎む公爵夫人の母。公爵夫人と母親との関係。
とかいってないで、作外人物、あたしたちの日常の、
親戚関係のみじめなほころびをじっと見つめる。


春よ、来い。