ぼくの、ぼくたちの生きている世界

現代日本の小説 (ちくまプリマー新書)


読了。
尾崎真理子『現代日本の小説 (ちくまプリマー新書)』(筑摩書房
よかった。
村上春樹と文学界とのかかわりや、最近の文学の状況が、
とてもわかりやすく書かれていた。この本を僕が読まなくても、
文学をやっているひとたちは僕と関係なく生きているんだろうけど、
尾崎真理子というひとがこれを本にして、僕がそれを読んで、
ある「世界」を見ることができたことが、なんか嬉しかった。
それは、僕がいるこの場所と、つながっていると思った。


読みたくなった本。
村上春樹若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)』(文藝春秋
村上春樹アンダーグラウンド (講談社文庫)』(講談社
村上春樹走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋
ジェイ・ルービン、畔柳和代『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』(新潮社)


それにしても、11月発行の『現代日本の小説』で、
10月刊行の『走ることについて語るときに僕の語ること』について言及してるのは、
そうとうぎりぎりまで原稿に手を入れていたということだろう。
さすが新聞屋さんだ。


第4章「パソコンから生まれる新感覚」も面白かった。
手書きとキーボード入力との隔絶については、どこかで読んだことがあったが、
パソコン、インターネット、携帯電話などに取り囲まれた生活が、
どれだけ「文学」を変容させたのか、なんとなくうかがえる。
それは、それだけ「世界」が変わってしまったということなのだが、
その隔絶感は、ぼくよりももう少し上の世代のひとのほうが、
繊細に感じ取れるのだと思う。


そして変わってしまった「文学」の現在を、
ぼくはあまり追いかけていないので、「なんとなく」しかわからない。
清涼院流水に、ふりがなが振ってあったので気がついたのだけど、
これって、「清涼飲料水」をもじってあるんですか。
ええ、いまさらですか、そうですか。


むしろ、大江健三郎を読みたくなった。
あと、高橋源一郎だな。


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
スティーヴン・ミルハウザー柴田元幸ナイフ投げ師』(白水社
マリオ・バルガス=リョサ、田村さと子『楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)』(河出書房新社
芦原すなおユングフラウ』(東京創元社
磯崎憲一郎肝心の子供』(河出書房新社
森達也死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』(朝日出版社
宮澤やすみ『東京 社用の手みやげ 贈って喜ばれる極上の和菓子』(東洋経済新報社
廣野由美子『視線は人を殺すか―小説論11講 (MINERVA歴史・文化ライブラリー)』(ミネルヴァ書房
町田忍銭湯遺産』(戎光祥出版
松本泰生東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方』(日本文芸社
創元社編集部『関西図書館あんない―BOOKMAP』(創元社
久保田カオル『書店員が描いた?モデルは本屋(ブックランド)のお客さん』(新風舎


『楽園への道』、ついに第二回配本が!
早く読まねば、ケルアック。
『死刑』、冒頭に引用されていたのは、カラマーゾフ*1
亀山郁夫訳でした。最先端だね。


森達也といえば、ダイヤモンド社のPR『経Kei』の連載、
リアル共同幻想論(9)を読んだ。(2008.1 No.75)

テロを本気でこの世界からなくしたいと考えるのなら、やるべきことはアメリカの艦隊に給油活動を行うことではなく、パレスチナ問題にもっと真摯に介入することなのだ。(p.20)


たぶん、給油活動を行うことのほうが、簡単なんだろう。


購入。
中島孝志『地頭が強い人間は仕事ができる―35歳までに必ずやっておくべきこと (小学館文庫)』(小学館
うーん。勝間さんの本を読んだあとだと、
雑談のようにしか聞こえてこないなぁ。
ざーっと読んで、忘れてしまおうか。