酒はなくとも空に乾杯

tori8102006-10-22

思いがけず、一箱古本市に出かける。
家を出る直前にネットで地図を確認していったのに、
根津で地上に出たとたん、「だめだ、ぜんぜんわからん」
とりあえず、古書ほうろうまで歩いて地図をもらおう。


途中、往来堂を発見。*1あれ、あっち側だっけ?
さっそく突入。笈入店長が棚に本をつめつめする横を抜け、
レジ前に「秋も一箱古本市」のチラシを確認。
・・・何かを買って、あれを手に入れねば!


最近気になっている文庫か新書だ、と思いつつ棚を回る。
笈入店長は、あっちゃこっちゃに移動しながら棚を整えている。
すいませんね、地図目当てで、とびくびくしながら、
入り口は行ってすぐのフェアに気がついた。
「あなたにも出会ってほしいこの一冊 まちの本屋のオススメ本」


文庫のフェア、これだ。オリジナルフェア帯がまかれている。
冊子もある。まず冊子に手を出す俺。池波正太郎が二点ある。
購入。
池波正太郎男の作法 (新潮文庫)』(新潮文庫


無事にチラシと不忍ブックストリートマップ入手。
あ!地図の南北がちがうじゃないの!
不忍ブックストリートマップは、左下が北なのだった。
最初に行こうと決めていた宗善寺は、藍染大通りの突き当たり右か。


寺の前でお姉さんにしおりをいただく。どうも。
長机に人が群がっている。天気もいいし、人も出る。
このあたりでは祭りもやってる。まあ、祭りに出てきた人と、
古本市に来ている人は、あまり重なっていなさそうだけれども。


「どうぞ、お手にとって見てください」と、
机の向こうの人々は、熱心に声をかけてくれる。
近い。近くてなんか照れくさくて、小さく無言でうなずきながら、
視線を箱の中の背表紙から外せない。ゆがんだ一期一会。
言われなくても、気になったら手にとりますよ。


・・・気にならない。暑さのせいか、気になる本が見つからない。
おっと、岡崎さんだ!まっさきに宗善寺にきたのは、岡崎さんの箱から、
いい感じのモノをいただきたかったからなのであった。しかし、
予想外の南北問題の影響で、時刻は11時20分を過ぎている。
おいしい生活ははるか昔となりにけり、かな。(めちゃらくちゃら)
谷川俊太郎の詩集がたくさんある、が、けっこう持っている。
あと、持ってたか持ってないかわからなくなっちゃってるのとか。


谷川俊太郎、ついつい買い集めて、けれど、
しっかり向き合えていたのは、高校生のころまでなんじゃないかしら。
一度お会いして、何かしらこころの交流を、と願っている。
・・・願っているつもり!?


『えんぴつで徒然草』らしき本が目にとまる。ほんとかい?
「えんぴつで」単独では興味はないのだが、徒然草にからめられると、
「えんぴつで書いたらなんかいい感じに兼行法師がこころに住みつくかも」
『えんぴつで徒然草』をしかし、岡崎さんから買うってのはどうなんだ。


実は、今回の「秋も一箱」に足を運んだのは、
かの晩鮭亭さんに会えるかもしれない、ということがあった。
参加していることは『晩鮭亭日常』(id:vanjacketei)でも表明しているが、
屋号は明らかにされておらず、店主一覧をにらみまわしても、
あたしの頭脳ではちっとも見当もつかず離れず、こうして箱の中の背表紙を目で追いながら、
耳は店主たちの「どうぞお手にとって」+「おしゃべり」に耳を傾けていた。
・・・あたしの頭脳では、ぜんぜん歯が立たない。かろうじて、
「古書ほうろうの●○さんだよ」というすずめのさえずりだけキャッチ。


次なる会場へ向かうぼくの手には、往来堂で買った文庫の入った紙の袋、
暑くて脱いだ上着、見えていたのは先を行く古書ほうろうの●○さん。
ライオンズガーデンって、なんじゃろなと思ったら、マンションだ。
寺にマンションに、秋の一箱は一味違いますな。ここも人だかり。
さっきよりは手も出たが、結局戻した。知ってる本にしか目が行かないくせに、
どうせなら知らない本を買いたいなどと思ってしまい、どこにもたどり着かない。


寺が多いな、一部屋古本市は、このあたりじゃなかったか、
谷中ぎんざはまだかいな、と歩いていると、NEGIさんが現れた。(id:foxsya
ようやく知っている人に会ってほっとする。NEGIさんは何か食べている。
タイヤキ?谷中ぎんざには、四谷書房さん(id:yotsuya-shobo)の箱があると聞き、さらにほっとする。


心配しなくても、谷中ぎんざはすぐにわかった。しかし、こんなとこに箱が置けますか?
にぎわうぎんざを下っていくと、途中にコロッケ屋さん。NEGIさんのは、コロッケか?
四谷書房さんが、一番手前にいらっしゃってご挨拶。ちょうど箱のあるまるふじの向いに、
イスが並べられて休憩所みたいになっている。四谷書房さんの箱は、犀だらけ。
そういえば、そういえば。いいですねー、犀の並ぶ光景は。わくわくしますね。
わくわくすれど、読むに至らず、それが晶文社ちくま文庫。背伸びしてる?


購入。
田中聡『不安定だから強い?武術家・甲野善紀の世界』(晶文社
甲野善紀センセイに救われた。四谷書房さんに伊勢丹の紙袋をいただく。
ここで、初めて「晩鮭亭さん」情報が!
四谷書房「ときに、晩鮭亭さんもさんかされているの、ご存知ですか」
とり「ええ、ええ、屋号がわからないので、にんともかんとも」
四谷書房「NEGIさんも、わからないとおっしゃってました」
みんな、わからないんだね!


こいつぁ、推理小説みたいになってきましたよ、と、
胸を躍らせてはみるものの、晩鮭亭さんといえば「落語とJAZZ」程度の材料で、
あたしの推理はあぐらをかいて尻かいて。次に行きましょう。
細い路地を不忍通りに向かう途中に、千駄木交流館、なになに休憩所?
ちょいとくたびれたもの、寄らせてもらうよ。ガラガラ。とドアをあける前に、
ほんとにここが休憩所なのか不安になる。ぱっと見、なんにもない。
そっと中に入ると、受付の窓の向こうにお母さんふたり、「お二階です」


靴を脱いで階段を上りかけてようやく、見慣れた黄色い旗があり一安心。
高野ひろしさんご自身がおもてなしの休憩所、女性が三人がかりで着付けとかしてましたが、
目をやっていいものか。ペンギンと一緒に写った有名人のアルバムを堪能。
落語家さんがいっぱいだー。眺めていると、高野さんから「撮らせてください」。
ペンギンをだっこさせてもらいました。ふへー、すごいな、これ。
こうやって、いろんな人とペンギンをいっぱいいっぱい撮影して、楽しいだろな。
春の一箱のときのぺんぎん写真が並べてあって、「写っている人、持ってってください」
退屈男さんは、持っていけたかしら。岡崎さんの写真もあった。
(IMAGOで写真集売ってるとか張り紙してあったけど、確認するの忘れた。)


さて、最期はIMAGO。晩鮭亭さんは、いるのか、はたして!
ブックオフが見えてきた。なんか気持ちがなえる。なぜだ!
「!」多用で自分を鼓舞。疲れてたのだね、きっと。
4枚目のしおりをもらい、さあ、どうなるんだ?とわくわく。
わくわくしてたら、一冊、買えた。
購入。
カメラ日和』vol.1 LIVES1月号増刊(第一プログレス)


4枚のしおりは、揃えると、urlが判明し、アクセス!サクセス!
と、なるそうな。さてさて、これでぼくの「秋の一箱古本市」は終了。
晩鮭亭さん、現れず!ていうか既にすれ違ってますなぁ。
そして、いま、店主一覧見て、なんか、IMAGOの箱、
少なくなかったですか?もしかして、店の中にもあった?
そんなことないか。団地の階段の方に3箱、店の入り口すぐに1箱、
入り口の左に1箱、右側に2箱、くらいじゃなかった?気のせいか。


道を駆け足でわたって、古書ほうろうへ。
『東京人』で気になるのがあったが、わりといい値段だったので、
今後の楽しみにしよう、というか、自分の持ってる号を確認しなきゃだ。
しきりに「一箱古本市でお買い物された方には1割引します」と声がする。
ああ、ぼくはくたびれているのだ。なのに99ショップで鼻毛はさみを買ったりして。


読了。
横山雅彦高校生のための論理思考トレーニング (ちくま新書)』(ちくま新書
非常によかった。でも、さすがにもう、読みたくないっしょ?
今日はおしまいにしよう。


さて、晩鮭亭さんの、答え合わせは、あるのかな?

*1:往来堂・笈入店長の紹介。知らなかった、この記事。:http://www.kousakusha.co.jp/KEC/hon008.html