幼子のよろこびのありか

きみは赤ちゃん (文春文庫)


雨。
これだけの強い雨は、久しぶりだ。
さすがの小走り小男も速度がにぶって、
乗りたい電車には間に合わなかった。


車中のとも。
堀江敏幸バン・マリーへの手紙 (中公文庫)』(中央公論新社

一篇の詩のためには、火事場を支配する一瞬の静寂の深さを、怖さを感じ取らなければならない。そうでなければ、マルテの啓示にたいする返答を自分の絵でおこなうために、数十年もの歳月を湯煎にかけるはずがない。(p.42)


以前から「湯煎」の読み方がわからず、おそるおそる「トウセン」と読んだりしていたが、
この本で「ユセン」と読むことを知った。3つめの「火事と沈黙」にも、
「湯煎」という語は登場する。この本に並ぶエッセイが、
どういう風に書かれ、編まれたのかは知らないが、
書いている時点で「全体」が想定されていたように感じた。
何かの媒体に連載されていたエッセイなのだろうか。「まえがき」欲しい。
最初の「牛乳は噛んで飲むものである」が、「まえがき」的なポジションを担っているようでもあったが。


うっすらと頭痛を感じながら、
昔ばなし的な絵本を選んで、おはなし会にのぞむ。
導入の小さい子向けの2冊を終えて、いざ本命を読み始めたら、
比較的大きい子を残して何人かの幼児が姿を消していった。
んー、やはり、それほど面白いと思えなかったのか。無念。


気になる新刊。
角田光代降り積もる光の粒 (文春文庫)』(文藝春秋
川上未映子きみは赤ちゃん (文春文庫)』(文藝春秋
津村記久子エヴリシング・フロウズ (文春文庫)』(文藝春秋


長女の誕生日プレゼント、贈呈。
ゆうべの工作を見て、キョトンとした表情。
まぁ、そうだよね、ごめんね、ズレた親で。
それでも明日以降の塗装あそびに望みをかける。
何とかして、彼女の「大切な一品」に昇格したい。