娘の人生を記憶するための

東京奇譚集 (新潮文庫)


けっこうな雨。具合の悪い娘を残して出勤。
起きてしまった娘が「イッテラッシャイ」と言う。
もうそれだけで、二度と会えないような気がする。
自分が仕事を休んで病院に連れて行っていたら、
と後悔することを想像しながら駅へ急ぐ。


車中のとも。
村上春樹東京奇譚集 (新潮文庫)』(新潮社)

ステージが終わりに近づくにつれ、「このままで終わってほしくはないな」という焦りに近い気持ちが強くなっていった。この夜の彼の演奏を記憶するためのよすがのようなものが、僕はほしかった。(p.12)


「偶然の旅人」というごく短い一篇の、冒頭わずか8ページほどの文章で、
ささくれだった僕の気持ちは、だいぶん落ち着くことが出来た。
妻が午前中だけ仕事を休んで病院に行ってくれるメールが来て、
ようやく一安心。もちろん、元気になるまで油断ならないが。