雑誌に揺られる心もあった

ケトル VOL.00


2、3回借りているのに、ぜんぜん読み始められなかった。
無意識のうちに、遠ざけているのだろうか。痛みなど、
感じるほどには揺さぶられていないはずなのに。


車中のとも。
稲泉連復興の書店』(小学館

商品は流失し、たとえ残ったものがあっても水に濡れている。「自分たちはどうすればいいのか」という問いに対して、斎藤さんも他の担当者もみな、具体的な言葉を見つけることができない。(p.13)


腹痛のとも。
ケトル VOL.00』(太田出版


創刊準備号は「本屋が大好き!」。
2011年4月刊行のこの雑誌に載っている原稿のいくつかは、
震災の直後に書かれたものだ。また、3月1日に、福島県の、
飯舘村の村営書店を取材した記事もある。震災10日前の、
本屋さんの「日常」だ。


雑誌は、発売直後に読まなければ内容がどんどん腐っていく、
という考えもあるだろうが、むしろそのときの状況を、
克明に切り取ったまま時を越えていく、とも思える。


たまたま、この2冊に揺さぶられた今日、6月6日。
あの日から、何日目、というのはすぐにはわからない、
まったくきりがよくないある日の、ぼくの心の揺れ。


こちらは、まだ刊行まもない雑誌です。
Coyote 特別編集号 2013 ◆ TOKYO LITERARY CITY』(スイッチパブリッシング)


「KINFOLK」という雑誌について、載っている。
こないだ、日本語版というのが出たばかり。
正体不明のおしゃれ雑誌だな、なんだこりゃ、
と思っていたのだが、ちょっと気になる。


巻頭の、谷川俊太郎の書き下ろし「東京」もよい。