無計画の魅力
Sさんが遠方から逗子にまで会いに来てくださり、
喫茶店でいろいろとお話をする。娘はベビーカーで眠っている。
餞別に、と、本をいただきました。ありがとうございます。
その後、ひとり実家に帰るため、総武線に乗り込む。
さっそく、いただいた本を読み始める。
車中のとも。
三島邦弘『計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほがらかな出版社」の話』(河出書房新社)
宴もたけなわを迎えた頃、突然、百々さんがガッツ軍団に向けて口を開いた。場がいっきに静まり返った。
「みんな、三島君は言わへんけど、たぶん、いまめっちゃお金ないと思うねん。会社つくったとこで、絶対厳しいはずやねん。それでも、ワタナベ君を連れて、高い交通費出して大阪まで来てくれはったんや。わかるか、この意味。みんな、絶対売らなあかんで。『街場の中国論』、絶対売ろな」
「はい!」
その場にいたメンバー全員が、口々に「ミシマ社の本、売りますよ」と明るく言ってくださった。
涙が出そうだった。いや、出てたかな。
目頭がぐっと熱くなるのを抑え、そのとき固く心に誓った。
絶対に絶対に、いい本にする。そして応援してよかったと思ってもらえる出版社にするんだ。(p.110)
やられた。噂には聞いていたが、なんとも無茶苦茶で、
かつ、魅力溢れる出版社ではないですか。
文章も、とてもうまいですね。泣いたり笑ったりしながら、
あっという間に総武線・京葉線を乗りつぶしてしまう。
書店・版元・取次の中で、日々悶々としているひとたちを、
にっこりさせてくれる一冊なのではないかしらん。
願わくば、イッパンの勤め人の方々にも作用して、
「まっとうな会社」が増えてくれるといいのだが。
気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
馬場正尊、林厚見、吉里裕也『だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル』(ダイヤモンド社)
小山龍介、原尻淳一『IDEA HACKS!2.0』(東洋経済新報社)
内田樹『呪いの時代』(新潮社)
『IDEA HACKS!2.0』小山さんと原尻さんの、
『IDEA HACKS!』のシリーズは、大好きだったなぁ。
改めて、「2.0」として、どういう提示があるのか、
気になる。
『呪いの時代』は、なかなか実物を見つけられず、
ようやく手にすることができた。それでも即買いにならないのは、
楽しみな『計画と無計画』が読み終わっていないからなのか、
僕の中の"たつる熱"が冷めてきているからなのか。
読了。
斉藤洋、杉浦範茂『ルドルフとイッパイアッテナ』(講談社)
斉藤洋、杉浦範茂『ルドルフ ともだち ひとりだち (児童文学創作シリーズ)』(講談社)
斉藤洋、杉浦範茂『ルドルフといくねこ くるねこ (児童文学創作シリーズ)』(講談社)
2巻で泣いた記憶はあったのだが、
不覚にも一作目で落涙。ああ、ルドルフ。
3巻は、初読。イッパイアッテナがあまり出てこないので、
ちょっと不満が残る。でも、ププと笑えるとこがけっこうあった。