母、来たる

車中のとも。
いしいしんじぶらんこ乗り (新潮文庫)』(新潮文庫


墓参りのあと、母をアパートに連れてくる。
引っ越して一年以上、とうとう来たか。
散らかりっぷりにガックリされるかと思いきや、
「思っていたよりはマシだ」というお褒めのお言葉。


しかし、しゃべりながらもどんどん掃除する母。
みるみるきれいになってゆく。魔法使いか、あんた。
「別に、なんにもしてないじゃない」確かに。
ただ、寄せて、ささっとぞうきんをかけているだけに見えた。
いや、魔法を使ったんだ。母親にしか会得できない魔法を。


夜になり、改札を抜けてゆく母を見送る。
改札を抜けてゆく母を見送るのは初めてか。
本屋に寄る。鬼平を冷やかして、チャリで帰る。