本屋に行きたいと叫ぶ坊や

ファンタジア


朝、車中にて読了したのは、『新装版 鬼平犯科帳 (9) (文春文庫)』。
鬼平をかばんにしまって、かわりにとりだしたのは、これ。
向井透史早稲田古本屋日録』(右文書院)
そうです、まだ、途中だったのです。


購入。
池波正太郎新装版 鬼平犯科帳 (10) (文春文庫)』(文春文庫)


買うや否や、ビルディで読みはじめる。
「犬神の権三郎」を一気に読んでしまう。


先の鬼平を神楽坂の本屋で買ったのだが、
ビルディに向かう途中、道端で泣き叫ぶ男の子あり。
歩きながら、耳に飛び込む泣き声は、なんと、
本屋に行きたい、とのことだった。
なんと、頼もしい坊やだろう。
そんなに本屋に行きたいなんて!


母親は、低い温度で坊やを連れ帰ろうとしている。
もし、わが子だったら、と想像する。
そして、いや、待て、もしもわが子であれば、
泣き叫ばなくとも本屋に連れて行かれてしまう。
すると、早々に飽きてしまって、本屋なんぞに
見向きもしない子に育ってしまうかもしれない。


うーん、ぜひともわが息子には、
泣き叫ぶほど本屋に行きたい子に育って欲しい。
が、今のところ、ぼくには息子も嫁もいない。
うふふ。


帰りの電車で、向井さんの本を読んでしまう。
「真夜中に、ひとり」や「そこにあるだけの日」は、
向井さんの感じている時間の速度が、伝わってくるようだ。
「早稲田古本屋日録」の、簡潔な記述がまた、
向井さんの日常の肌触りをつたえるようだ。
ざっくりと省略された記録がかえって、
自分の記憶のようにこころに滑り込むのかもしれない。


そうして、また、鬼平に戻る。
鬼平→早稲田→鬼平である。
おにわせサンドである。


なんとなく、喜多見でおりて、狛江まで歩く。
途中、林書店という古本屋を発見する。
文庫の並べ方にあまり規則はなさそうだが、
ちくま文庫講談社文芸文庫などは集めてある。
奥の方には固そうな文芸書などがあり、見る人が見れば、
そうとう面白いお店なのかもしれない。


文庫、新書はとにかく定価の半額にしているようだ。
ご挨拶がわりに、一冊購入。
小林信彦袋小路の休日 (講談社文芸文庫)』(講談社文芸文庫
歩くのに、いい季節になりましたな。
梅雨になる前に、おさんぽ、おさんぽ。



気になる新刊。
ブルーノ・ムナーリ、萱野有美『ファンタジア』(みすず書房
黒川鍾信『旅に出よう 船で』(講談社
定番 (あたらしい教科書 4)』(プチグラパブリッシング