慣れてゆく中年、大好きなはせしょに駆けつける

ジジイの片づけ

 

健康診断の日は、その後の時間にコーヒー飲んだり、

本屋さんに行ったり、いろいろと楽しんだ記憶があるのに、

ここ数年、どうも勝手が違ってきてしまった、なんで?

といぶかしんでいたら、あれか、40歳を過ぎてから、

検査項目でバリウム検査が追加されたからなのかも。

お腹の調子をうかがいながらのコーヒーとか、

美味しくないもんね。

 

それでも、3回め、4回めくらいにもなれば、

少し慣れてきたのだろうか、今年は健康診断の後、

島本攻めを企んで、事前に稔さんに連絡しておいた。

そのくせ、朝の準備に手間取って、予約時間に遅刻。

あぁ。数年前に遅刻したときは、電話したけど、

今日はもう、ただ急いで診療所に向かうのみ。

電話対応の方が、迷惑なんじゃ説を採用。

 

今日のバリウム検査、途中で技師の指示が理解できなかったり、

ちょっとワタワタしたのだけれど、それがちょっと可笑しくて、

なんか楽しい気持ちにすらなっていて不思議だった。

ゲップの我慢とか、味とか、あまり気にならなかった。

慣れたの?たかが年1の検査で、すぐ慣れたりするものなの?

 

毎年思うけれど、健康診断は、好き。

スタッフのみなさんが親切だし、指示にしたがって、

あれこれ移動しているだけでなにがしかの「仕事」が

進捗していくというのも、なんか、うれしたのし。

 

車中のとも。

管啓次郎本は読めないものだから心配するな (ちくま文庫)』(筑摩書房

 

ラグーンと干潟のとこ、面白かった。

ジャネット・フレイム、気になる。

ロボトミー手術受けさせられそうになって、

病院で書き溜めていた短編群が賞をとって、

危機一髪、逃れたとか、すごい。

 

乗換えも、スマホを見ながらなんとかこなして、

無事、水無瀬駅の改札を抜けた。こっちから来るの、

久しぶりだ。店の前には、ビッグイシューの販売員さん。

おぉ、ついに販売のある日に訪問できた。「独学」の号、

バックナンバーを確認した。よし。店に入って、

稔さんにご挨拶。もう、そこに妙な演出はなく、

だって、今日は事前に訪問を伝えてるわけだし、

でも、なんか、こういうのも慣れてきたのかな。

 

この「慣れ」は、「狎れ」ではなく。

馴染み、といった感じかしら。店長さんにも、

ご挨拶。今日は、すぐにボクと認めてもらえた感じ。

稔さんが準備をする間、本棚に取りついて、少しでも、

「養分」を摂取しようと本の姿を網膜に焼き付ける。

 

初めてのお店に連れて行ってもらった。

大きな窓からの陽光で明るい感じのカフェ?

大きなサンドイッチ、とても美味しかった。

 

 

比較的メンタルは調子よい感じではあったが、

それでも口をついて出るのは不安の色濃いことばが多い。

ただ、稔さんが聞いてくれている、というのが嬉しくて、

身ぶり手ぶり激しく、仕事のことやら本屋さんのことやら、

あれこれしゃべっていたら、その「しゃべりかた」について、

面白がってもらえて、なんか、救われた。

 

購入。長谷川書店 水無瀬駅前店。

延江浩『松本隆 言葉の教室』(マガジンハウス)

沢野ひとしジジイの片づけ』(集英社クリエイティブ)

 

あれこれ気になる本がたくさんあったのに、

あまり買えなかった。なぜだろうね。

今日は、あまりにも「弱気」で、

自分を慰めるような本は、

買いたくなかったのもある。

 

それでも、「欲しいと思った本を、買う」という、

それを遂行することで自分をはげますんだ、

せっかくはせしょに来てるんだぞ!?

みたいな、なぞの叱咤激励があり、

松本隆の本を買えた。

 

独学特集のビッグイシューも買った。

帰りも、『本は読めないものだから』を、

せっせと読んだ。近鉄奈良に着いて、

コーヒーでも飲んで帰りたい、

と思った。

 

はせしょを訪ねた旅の終わりを、

少しでも先延ばしにしたいみたいだった。

 

でも、もう、そういう時間ではなかった。

未練たらしく稔さんにDMを送って、家に帰った。

 

それは、確かに、

幸せなことだった。

ただ、それを味わうよゆうが、

なぜだか見失われていたのだ。