欲張りな第四歌集をすぐに読み干す

今日の放課後、短歌部へ! (単行本)


今日のおともは歌人教師のエッセイ。
自作以外の短歌も頻繁に挿入されている。
ゆうべ、ぱらぱらしてたら70ページくらい読んでしまった。
連日の、読書による寝不足だ。読書は、毒だ。


車中のとも。
千葉聡『今日の放課後、短歌部へ! (単行本)』(角川学芸出版

いい歳をした担任は、ようやく学びつつあった。クラス全体という大きな幻のようなものを愛してはいけない。クラスじゃなく、一人ひとりが大切なんだ。(p.100)


なぜか、脳内で映像化されるこのチバサト先生の役を、
夏葉社の島田さんが演じている。『あしたから出版社』*1の、
キッチンミノルさんの撮影した口絵写真の、自転車に乗っているあの島田さんだ。*2


ゆうべの助走が功を奏して、
かえりの電車で読み終えそうだ。


付録の座談会を読む。穂村弘東直子、千葉聡。豪華メンバー。
他人の青春記を読むことが好きな自分は、足りなかった何かを、
補完していたのだろうか。たとえばこの本で、同級生女子を。

東 青春を描いたものは、青春の中にいる人だけが読むものではなくて、とっくに過ぎてしまった私たちにも必要なんだろうと思います。(p.184)


ところが、読み終える直前に、電車は無情にも、
近鉄奈良駅にすべりこんだ。しかたがない。
長谷川さんからの宿題を考えながら帰る。
今日はロスタイム読書は、なしで。


寝る前に、さらっと読み干す。
これで、明日は新しい本を持っていける。


読了。
千葉聡『今日の放課後、短歌部へ! (単行本)』(角川学芸出版


先に、「歌人教師のエッセイ」と書いたが、
「長い長いあとがき」によると、この本は、
第四歌集とされている。ツイッターのプロフィールには、
「教員歌人」とある。「歌人教師」より、断然いい。
歌人教師って、なんか、怪獣のなまえみたいだ。


教員歌人の第四歌集であるこの本は、けれど、
Amazonの紹介文では、


「熱血“歌人”先生「ちばさと」の奮闘を描いた青春短歌エッセイ! 」


となっている。歌集よりエッセイの方が売れるだろう、
という版元さんの思惑が働いているのだろうか。
とはいえ、角川学芸出版さんは、短歌の本を、
たくさん出してらっしゃるし、まさかそんな。


でも、エッセイ部分と短歌部分との共演は、
すごく高めあってるように感じたし、ところどころ引用、
というか、借景(?)されている千葉聡の歌でない短歌が、
別の世界観へ独特のハイパーリンクを生じさせている気がして、
エッセイ集であり、歌集であり、アンソロジーであり、
巻末には穂村弘東直子との座談会も収録、って
欲張りな本ですな、こいつぁ。


青春を補給させていただきました。
たいへん、美味しかったです。ごちそうさまでした。


ツイッターで、一緒に読むことを薦められたのは、*3
こちら。


千葉聡『飛び跳ねる教室』(亜紀書房