読んで、飲んで、三人の男、

奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの


家を出る。楽しみのために、家を出る。
ただ、人と会って、本の話をするだけのおでかけ。
だのに、この鞄の重さと言ったら、なんだ。


この鞄に詰まっているのがつまり、僕の不安であり、あわよくばという下心であり、
捨てきれない未練であり、世の中に対する言い訳なのです。


車中のとも。
岡崎武志読書の腕前 (光文社新書)』(光文社)

今日はどの本を読もう。どこまで読もうか。自分一人で決めて、自分一人で楽しむ。そんな日々が約束されているとしたら、私はなんだか憧れてしまう。(p.6)


「はじめに」を読んだ。嬉しくなってきた
今朝、『読書の腕前』を持っていくのにカバーを外したら、
かなりくたびれた本体が現れた。文庫版も買ったが、
やはり読むのは光文社新書版が好きだな。


印刷のかすれてきたレシートには2007年3月19日18:35の記録。
リブロ池袋本店。


あらすじに関するオカタケ師匠のことば、今まではそうそう、
ってんで読んできたけど、ふと、あらすじ本だって本は本だし、
本人が読みたいなら、中身の貴賤を問わなくてもいいんじゃない?って、
思った。いや、本ならなんでもっていう原理主義もビミョーだけど、
あらすじに痺れる精神があってもよい。


こんな風に、今回は、ちょいちょい、師匠に対する口ごたえが頭に浮かんで、
素直に文章が入ってこない。まぁ、いっか。拾い読みながら、師匠とおしゃべり。
これはこれで、とても楽しい読み方だ。


ウメツタを、じっくり見た。じっくり見ないと、摂取できない栄養素ってありますね。
買いたい本の中から3冊にしぼる。3冊という数値に、根拠はないが、
1冊や3冊になることが多い。八方美人なので、
なるべく色んなお店にお金を落としたくて、
ひとつの店でたくさん買えない。


購入。梅田蔦屋書店。
恒川光太郎竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)』(講談社
久住邦晴(くすみ書房・店主)『奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの』(ミシマ社)
細谷功メタ思考トレーニング (PHPビジネス新書)』(PHP研究所


読書の学校のフェア、見てきた。ちゃんとフェア帯が巻いてあり、
推薦者のコメントも印刷されている。凄い。トリイさんの、
寄せたことばを持って帰る。くすみ書房のない日々を、
歩くためのお守りとして。


それにしてもウメツタのスタッフになる、というのは、
もはや、ウメツタスタッフという配役をもらって書店員を演じる、
というのが比喩にならないくらいの、演劇性を感じたです。
あの衣装、あの照明、あのトランシーバー?も非日常感。
採用面接は、もはやオーディションですね。


オーディションには一度も通ったことがない。
苦い思い出しかない。苦い思い出も、美味しいけども。
いや、蔦屋のオーディション、受けないけども。


待ち合わせの時間まで、もう少しある。それならば、と、
特に知り合いがいるでもないのにいつの間にか親しみを感じている、
横綱へと迷い込む。まずはトイレだ。このトイレの前の窓外の景色がすてきな、
謎空間がすごい魅惑的ですね。いつも人がいっぱいだからアレだけど、
ここでゆっくり本を読んだり考え事したりしてみたいな。


横綱では、なかなか購書欲求が湧いてこず、難儀した。
いや、買わなきゃいい話なのだが、作家やタレントの声を聞きながら、
なんとか育てた欲求を絞り出して1冊買う。


購入。紀伊國屋書店グランフロント大阪店。
唐木元『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)』(インプレス


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
原慎一郎『歌集 滑走路』(KADOKAWA
一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本 2019 (男の隠れ家 教養シリーズ)』(三栄書房
湯川豊本のなかの旅 (中公文庫)』(中央公論新社
呉明益、天野健太郎自転車泥棒』(文藝春秋
残雪、近藤直子『黄泥街 (白水Uブックス)』(白水社
ジョルジュ・ペレック、塩塚秀一郎『パリの片隅を実況中継する試み: ありふれた物事をめぐる人類学 (フィクションの楽しみ)』(水声社
野田秀樹、鎌田浩毅『野田秀樹×鎌田浩毅 劇空間を生きる:未来を予見するのは科学ではなく芸術だ (MINERVA知の白熱講義)』(ミネルヴァ書房
デイビッド・セインデイビッド・セイン流 なやまず書ける英文メール&SNSトレーニング』(河出書房新社
岸政彦、北田暁大、筒井淳也、稲葉振一郎社会学はどこから来てどこへ行くのか』(有斐閣
阿部公彦名作をいじる 「らくがき式」で読む最初の1ページ (立東舎)』(立東舎)


大阪駅の改札前でKO待ち。楽しみなことは、待っているときが一番楽しい、
なんてうそぶいて、セブンイレブンのコーヒーを飲む。あ!オザワさん!


本の話、をしたな。
した、した、したよ。あの話、この話、したけど、
いささか飲みすぎて、鶴橋駅のトイレで居眠りしてたり、
なかなかに危ない感じで家まで帰ることになった。


というわけで、熱弁をふるったり、耳を傾けたあれこれも、
余韻というか余熱のようなものでしか体内に残っていない懸念。
本を読む、というのは個人としての楽しみなのだけれど、
本について、本を読むことについて、語りあう、
というのは、それはまた別の、大きな喜び。


オザワさんも、キタムラさんも、そりゃ、たくさん読んでるし、
こっちが好き勝手言っても、飲みこんでくれる懐の深さを感じて、
ついつい、飲みすぎてしまいました。(←因果関係が怪しい)
マンゴー通りの話は、なんか、もっともっと話したかった。
底抜け貧乏暮らし 文芸文庫、というメモが残っている。


次の機会まで、生き延びる。
生き延びるための、小走り。