贈り物を、上手に受けとめたい

SAVVY(サヴィ)2018年12月号[雑誌]


ゆうべは遅かったにも関わらず、
妻がもう、起きて朝ごはんの準備などをしている。
お弁当の用意までしてくれている。オソハヤは、
なかなかしんどい、などという弱音は、
そそくさと朝の冷気の中に消えてゆく。


車中のとも。
片岡義男英語で言うとはこういうこと (角川oneテーマ21)』(角川書店


日本語と英語と、両方「わかる」ひとが、
英語について解説してくれていると、なんか、
「助かる〜」っていう気分になる。


購入。
SAVVY(サヴィ)2018年12月号[雑誌]』(京阪神エルマガジン社


昼休憩時、我慢できずに購入。さっそくパラパラ眺めよう、
一色さん探そうとしたら、先にあけっぴろげな駅前書店が!
お弁当を食べながら、またしても自分の知っているはせしょと、
記事のギャップにもやっとした気持ち。でも、紹介されてる本が、
独特の味わいがある3冊で嬉しい気持ちにもなる。


そしてはせしょのページを読むために、
くるんと開いてまるっとなった右側のページが一色文庫さんだった。
記事でも触れられているが、そう、一色さんのツイート、面白い!
絶対実話じゃないと思うんだけど、そこをつっつかずに、
ふわふわ浮かせておくのもまた、面白さの一環か。


車中のとも。
片岡義男英語で言うとはこういうこと (角川oneテーマ21)』(角川書店

Don't confuse me by giving me a lot of facts.(p.55)


単なる例文に、自分の真情を見つけて、胸をつかれる。


小雨降る中を小走りで帰る。
マンションの会合に参加して、空腹を抱えて帰宅。
お義母さんを見送り、娘たちを風呂に入れて寝かす。
食事をとり、同じく遅く帰宅した妻を転がしたままに、
休日前夜の読書。珍しく早番だったから、
いつも以上に、余裕がある。


夜のとも。
本を贈る』(三輪舎)


続きの、橋本亮二「出版社の営業職であること」から読む。
朝日出版社です。直納に参りました」(p.231)のとこ、熱い。
お店に来てくれる営業さんと力を合わせて、売上を伸ばしたい。
自分ひとりでできることなんて、たかがしれているのだ。


次は、久禮さんだ。書店員、そう、ということは、
その次に「本屋」の三田さんが来て、この贈り物リレーは終わる。
メタ感のある久禮さんの書き出しにおやっと思う。
本当に、この本の書き手の人たちは個性豊かだ。


続いて、「お客さんから逆流してくる思いを汲み上げ続ける」
というところに、おおーっとなる。なんというか、本の終盤にきて、
この『本を贈る』という面白い企画の、さらに面白くなる余地、
というか、「言われてみりゃ確かに、そこのところも大事だよね」
という部分に光を当てられた感じがして、唸る。


単独でこの文章を読んでも響くとは思うけれど、本をつくる過程の、
様々に関わる人々のことばを読んできた後で登場するこの配置は、
読者・本を買う人に対して、新鮮な視線を向けるきっかけとして、
いっそう、効果を発揮していると思った。


そうして、三田さん。冒頭、ユトレヒト江口さんの名前が出た。
そのあとにも、思い出話の中に、2000年代前半のこととして、
COWBOOKS や、BOOK246など僕も行ったことのある名前が出てきて、
思わず「懐かしい」とつぶやいてしまった。西へ流れてきたから、
僕だけが余計にそう感じているのかもしれないけれど、
やはりもう、時代は少し、進んでしまった感がある。


移動式本屋に専念することにした、という三田さんのことば、あれこれ、
いいなぁ、と思った。僕も、本を抱えて、ひとり芝居をしながら、
全国を巡業してみたい。妻子に見捨てられたら、そうしよう。
そうして、野垂れ死にしよう。たのしみ、たのしみ。


「眠れる一冊の本」という、若松英輔氏の文章が、
そこに立っていた。忘れていたわけではないが、
ボーナストラックのようなたたずまいで、
なんとなく、ノーカウントにしていたのか。
帯の裏側の執筆者でも左端は三田さんだったし。


「本を贈る」という、個性豊かなエッセイ群のなかでも、
若松センセイのことばは、やはり手触りが違って感じる。
そうして、悔しいけれど、なぜかまた鼓舞されている自分を発見する。


読了。
笠井瑠美子、川人寧幸、久禮亮太、島田潤一郎、橋本亮二、藤原隆充、三田修平、牟田都子、矢萩多聞、若松英輔本を贈る』(三輪舎)


良かった。
『本を贈る』重版が決まったそうで、おめでとうございます。
なんでも、刷る色が変わるとか。マジか。ひとりでも多くの人に、
この本が響いてくれるといいなぁ、と思った。そうして、
その響き方について、もそもそと話し合いたいなぁ、
と思った。誰かと。