本屋で嵐をやり過ごす

文庫本を狙え! (ちくま文庫)


近鉄奈良までは、降っていなかった。
けれども北の方から男性の声が、
警報を知らせるのが聞こえた。
保育園、ダメか。妻にメール。


車中のとも。
坪内祐三文庫本を狙え! (ちくま文庫)』(筑摩書房


今朝は小沼丹『清水町先生』(ちくま文庫)からスタート。
小沼丹の文章はぜんぜん読んだことないし、
エッセイや小説の登場シーンとしても、
あまり記憶にない。


小沼丹の文章がいい、というのは、
いくつかの「読書エッセイ」で読んだ気がする。
魚雷さんだったか、善行さんだったか、オカタケさんだったか。
『清水町先生』、気になる。太宰が出てくるらしいところも気になる。


目黒考二『活字学級』は、既読。読んだことがある本も読み返したくなる文章は、
とてもありがたい、嬉しい気持ちになる。ありがとうございます、坪内さん。
獅子文六『食味歳時記』の項、締めがくーっとくる。切手を眺めている坪内さん。

佐藤春夫のような生意気で無神経な流行作家は、ずっと絶えることがない。しかしそういう生意気に、ニコニコと笑って切り返せる老大家は、今やもう、いない。(p.149)


それなりの雨をくぐって店にたどり着いてしまえば、退勤まで窓もない屋内で、
後からやってくるスタッフに天気の様子を聞くだけで、今、
外がどんな風に吹き荒れているのかわからないまま。


なんということでしょう、仕事を終えて外へ出れば、雨は止んでいる。
これ幸いと、小走りで駅まで走る。結局、奈良でも止んでいて、
ついに、傘を差さないままで家まで帰りついてしまった。